社説:衆院選・消費増税 軽減税率で自公を評価

毎日新聞 2012年12月11日 02時31分

 消費税をめぐっては、いわゆる逆進性対策が重要な論点である。「軽減税率」と「給付つき税額控除」のふたつが検討対象となっているが、われわれは軽減税率を採用すべきだと主張してきた。

 欧州諸国で広く導入され、日本の消費税に当たる付加価値税の安定化と円滑な実施を支えてきた。納税者に分かりやすい制度であり、政策の恩恵を実感できるからだ。

 欧州で付加価値税の税率引き上げがあまり抵抗なくできるのは、軽減税率が導入されているからだといわれる。これに学ばない手はない。

 この点でもっとも明快なのは公明党で、消費税率を8%に引き上げる時点で軽減税率を導入すべきだとしている。賛成だ。自民党も政権公約に「複数税率の検討」を盛り込み、軽減税率の導入に前向きだ。両党の姿勢を評価したい。

 民主党はいわゆる3党合意で、税と社会保障の一体改革を自民・公明両党と推進する立場だが、軽減税率について、否定はしていないが消極的だ。給付つき税額控除の方がよいという考えだが再考を求めたい。

 仕組みが複雑でいつ実施できるか分からない。この制度を採用するなら所得をきちんと集計できないといけないがそれが難しい。マイカードを導入しても、いわゆるクロヨンなどが解消されるわけではない。結局はバラマキになるだろう。

 軽減税率については、対象品目の線引きが難しいことが指摘される。しかし、それがまさに政治の仕事であり、どのような原則で対応するかの問題である。

 欧州では「食料」に加え「知識」への課税は避けるという考えが広く共有されている。新聞や書籍などが軽減税率の対象になっているのはそのためだ。活字文化や報道によって欧州の民主主義は支えられているという認識がある。それが「知のインフラ」への課税は避けるという課税思想につながった。日本でもそれが尊重されることを願う。

 消費税では実施時期をめぐって、先送り論がちらつくのが気になるところだ。消費増税法の付則で「経済状況の好転」を実施の条件としているためである。自民党の安倍晋三総裁は「デフレが進行する中で上げるべきではない」と述べているが、経済状況がよほど悪化していない限り予定通り実施すべきだ。

 国債累増への根拠薄弱な楽観論が台頭しているのは困ったことだ。世界の不安定性はむしろ増している。わが国は弱点である財政問題で、急ぎ信認を高めておく必要がある。

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