半導体大手のルネサスエレクトロニクスが政府系ファンドの産業革新機構の傘下に入ることが決まった。革新機構が最大約1900億円を出資し、ルネサスの議決権の3分の2以上を握って経営権を手中にする。
ほかにトヨタ自動車などルネサスの半導体を使う取引先企業8社も出資するが、出資額は合計で100億円強にとどまり、経営への影響力は限定的だ。
そもそも自由競争の原則からすれば、政府系機関が特定の企業を支援することは競争をゆがめかねず、多用してはならない手法だ。「日本の産業基盤を守るために必要」といった名目で、公的な資金が個別企業の救済に使われるとすれば、大いに違和感がある。
百歩譲って官製ファンドによる支援がやむを得ないとしても、ルネサス再生の見込みはどのくらいあるのだろう。
同社が最近の円高や東日本大震災による工場の被災など、外からの要因で打撃を受けたのは事実だが、そのずっと以前からルネサスは赤字体質に陥っている。経営不振はいわば慢性的なものだ。
顧客基盤が国内に偏り、かつては強かった通信市場では米アップルなどが主導したスマートフォン(スマホ)化の波に出遅れた。
NECや日立製作所の半導体部門が一緒になって発足したルネサスには、寄り合い所帯特有の組織運営の難しさもあった。進めるべきリストラが進まず、長引く経営不振にもメリハリの利いた打開策を打ち出せなかった。
ルネサスが抱えるこうした構造的な問題に革新機構はうまく対処できるのだろうか。政府主導の半導体再生の試みは過去にもあったが、成果に乏しい。「企業再生のプロを集めた」と自認する革新機構の手腕が問われる。
2月に会社更生法を申請したエルピーダメモリは米半導体メーカーの傘下で再建を進める方針だ。官製ファンドと外資系企業のどちらがうまく日本の半導体を立て直すか、その競争にも注目したい。
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