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【社会】

伝説の名車「117系」が来春で引退 

2012年12月11日 22時50分

引退が決まったJR東海の117系=名古屋市熱田区で

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 国鉄時代の晩年、東海道線にグリーン車並みの座席を持つ快速電車として投入され、当時の不便な国鉄のイメージを一変させたJR東海の117系が、来春で定期運行から引退することになった。リニア・鉄道館(名古屋市港区)で屋外展示される一方、朝夕のラッシュ時などにほそぼそと走り続けてきた“伝説の名車”が、ついに姿を消す。

 117系は1982年に「東海ライナー」として登場した。国鉄は81年、サービス改善策をまとめた小冊子「PLAN80」を発表しており、117系がその突破口となった。

 名古屋鉄道局長としてPLAN80をまとめた須田寛・JR東海相談役(81)などによると、当時の国鉄は、名古屋を中心とした都市圏のシェアはわずか5%。国鉄は古くさいイメージなどから「汽車」と呼ばれ、名鉄のパノラマカーなど近代的できめ細かいサービスに大きく遅れていた。

 117系は、私鉄との競争が激しい関西圏で既に走り、実績を挙げていた。4人がけのボックスシートではなく、グリーン車と同じ2人がけの転換型シート。パノラマカーに対抗できる都市型車両で、特急料金不要もあって人気を博した。東海道線のほか、中央線などでも走った。

 117系の導入で、名鉄側もサービス向上により努めることになり、この地方の在来線の活性化にもつながったという。

 87年の民営化後も新快速として重用された。しかし、最高速度は110キロで、平成に入って120キロが可能な新型車両が導入されると、運用は減っていった。

 今後はイベント列車などでの登場となる。リニア・鉄道館では「現役だから」という理由で屋外に展示されており、今後は屋内展示に変わることもあるという。JR西日本管内の一部ローカル線では走っている。

 須田相談役は「現在の軽量化した車両にない安定感があり、国鉄時代の名残を感じた。私としても非常に思い入れの深い車両で、一つの時代が終わった、という思いでいっぱい」と話した。

(中日新聞・鵜飼哲也)

 

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