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原発事故で妻が欧州に帰国 避難費など170万円賠償

 福島第1原発事故で欧州出身の妻が現地政府の退避勧告で母国に避難し、家族が離れて暮らさざるを得なくなったとして、仙台市の男性らが避難費用や慰謝料など約700万円の支払いを求め、政府の原子力損害賠償紛争解決センターに申し立てた和解仲介手続きは10日までに、東京電力が避難費用など計約170万円を支払うことで一部和解が成立した。
 支払われたのは避難費用約60万円、生活費の増加分約90万円、交通費約10万円など。慰謝料は認められなかった。
 関係者によると、原発事故で外国人が国外に避難した仲介手続きで、ほぼ申立人の請求通りの避難費用が認められたのは珍しい。
 仲介手続きで、男性側は妻の母国が1986年のチェルノブイリ原発事故で放射能汚染被害を受けた経緯に触れ「妻や実家の家族の不安も大きい。家族が離れ離れになり、皆、計り知れない精神的苦痛を受けている」などと主張した。
 東電側は当初から「外国に逃げる必然性がない。慰謝料は(認めると)他の避難者への影響が大きく、認められない」と反論し、全ての支払いを拒んできた。
 双方の言い分を踏まえ、仲介委員は慰謝料を除く賠償を認める案を示したが、慰謝料を認めない理由は明言しなかったという。
 一部和解を受け、男性側は「他の国外避難者にも賠償の道が開かれた」と評価。一方「慰謝料が認められなかったのは違和感がある」と強調、慰謝料を求めて提訴するかどうか検討している。


2012年12月11日火曜日


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