民主党の小沢一郎幹事長は14日、党本部で定例記者会見を開いた。やり取りは次の通り。
【日米、日中関係】
――幹事長は日中、日米は等距離の二等辺三角形論が持論だ。日米中を含めた3者の考えは今後どうあるべきか。
「それは君の一番最初に言った関係さ。日本にとっては日米関係、日中関係、二国間関係としてはこの二つが最も重要だ。日韓関係はもちろんだけれども、これは非常に近しい間柄ですから、それはそれとして、その二つが最も日本にとっては重要だと」
――この訪中でどういう成果がそれに向けてできたか。
「これは訪中団は日米問題の話じゃないもん。日中問題のプロジェクトだもん」
【普天間問題】
――普天間問題などをめぐって……
「何?」
――普天間問題などをめぐって、連立3党の中で……
「何問題?」
――普天間。
「あ、普天間。沖縄。はあはあ、はいはい」
――連立内で若干のきしみも目立ち始めているが、参院選に向けて3党連立維持のため、どのような調整をするか。
「普天間問題について論じる立場にはありません。私としては、参議院選挙を3党で協力して、そしてまた民主党としても、独自で過半数がとれるように、今後とも全力で努力したいと、そのように思っております」
【皇室外交】
――鳩山政権は政治主導を掲げているが、自民党時代と違う皇室外交のあり方について。
「何?」
――皇室外交。皇室外交です。
「あ、あー」
――どのような考えをお持ちか。
「どういう意味?」
――習近平氏が来日したが、天皇陛下との会見が30日ルールにのっとらない形で今回行われる。
「30日ルールって誰作ったの?」
――……。
「知らないんだろ?君は。法律で決まっているわけでもなんでもないでしょ、そんなもん。それはそれとして、君は日本国憲法を読んでいるかね?ん?天皇の行為はなんて書いてある?」
――国事行為。
「なんていうか、どういう風に書いてある?憲法に。国事行為は、内閣の助言と承認で行われるんだよ。そうでしょ?天皇陛下の行為は、国民が選んだ内閣の助言と承認で行われるんだ、すべて。それが日本国憲法の理念であり、本旨なんだ。ね?だから、あのう、なんとかという宮内庁の役人が、どうだこうだ、どうだこうだ言ったそうけれども、まったく日本国憲法、民主主義ちゅうものを理解していない人間の発言としか、私は思えない。ちょっともう、私には信じられない。しかも、内閣の一部局じゃないすか、政府の。一部局の一役人が、内閣の方針、内閣の決定したことについて、君らと同じような人らに会見して、方針をどうだこうだこうと言うのは、日本国憲法の精神、理念を理解していない、民主主義を理解していないと同時に、もしどうしても反対なら、辞表を提出したのちに言うべきだ。当たり前でしょう、役人だもん。ほうでしょ?だから、そういうところがマスコミも、もう全然理解せずに役人の言う通りの発言、あの、報道ばっかりしてちゃあいけまへん。ちゃんとよく憲法を読んで、そして天皇陛下のお体がすぐれないと、体調がすぐれないというならば、それよりも優位性の低い行事はお休みになればいいことじゃないすか。そうでしょ?はい、わかった?」
――陛下の健康上の問題にかかわらなければ、いわゆる1カ月ルールは……
「いやだから、1カ月ルールっちゅうのは、誰が作ったんですかっつうんですよ」
――なくてもいいと。
「なくてもいいもんじゃない。誰が作ったか調べてからもう一度質問しなさい。私は、これは、なんでもかんでもいいっつってるんじゃないんだよ。ルールを無視していいとかなんとかっつってるんじゃないんだよ。宮内庁の役人が作ったからって、金科玉条で絶対だなんて、そんな馬鹿な話があるかっつうんですよ。ね?天皇陛下ご自身に俺聞いてみたら、必ず、それは手違いで遅れたかもしれないけれども、会いましょうと、私は天皇陛下は必ずそうおっしゃると思うよ。わかった?」
――小沢幹事長が平野博文官房長官に習近平・中国国家副主席との会見を要請したという報道がある。事実関係は。天皇陛下の政治利用だという議論があるが。
「君も少し憲法をもう一度読み直しなさい。今、説明したじゃないですか。天皇陛下の国事行為、行動は、国民の代表である内閣、政府の助言と承認で行うことなんですよ。それで全部、国事行為、全部政治利用になっちゃうじゃない。諸君の理解が全くおかしいんだよ。マスコミの。そうでしょ?みんな何にするにしたって、天皇陛下は内閣の助言と承認だと、それは憲法にちゃんと書いてあるでしょうが。それを政治利用だっつうんだったら、何にも天皇陛下できないじゃん。内閣になんも助言も承認も求めないで、じゃ、天皇陛下個人で勝手にやんの?そうじゃないでしょ?うん。だから、事実関係だけっつうんだったらね、そんなことは勉強してから二問目は聞きなはい、もう少し。それで、事実関係として、政府の決めることですから。私が習近平副主席を、天皇陛下とお会いさせるべきだとか、させるべきでないとか、いうようなことを言った事実はありません」
――明日予定されていた幹事長と習氏との会談が中止になった経緯は。
「予定していたわけでは、ございません。ただ、会いたいという連絡はあったそうですけど、非常にお忙しい日程、3日間で、いろんな方とお会いするんでしょ。だから、私は中国に行った、きたばっかりですし、そんなに日程でお忙しいところだろうと思って、ご無理なさらんでもよろしいと」
【党の陳情と普天間飛行場移設問題】
――陳情の中で、普天間飛行場の件で地元から要請があるが、党としての陳情に盛り込まれたのか。
「あのう、まだ最終確定してませんけれども、普天間の問題についての要望という形はとらないだろうと思います。というのは、これは、我々に対する要望は、個別というか、いろいろ仕組みの制度の要求もあるけれども、あと予算をつけてほしいとか、どうかというのが陳情のほとんどですから。普天間のことをやるかどうかは、まさに政府・内閣の決定の範囲内のことでございますので、私どもとしては、地元からそういった予算面で陳情のあったことを、整理してまとめて要望するということになると思います」
【党からの陳情要望】
――今日の党役員会で政府に対する予算、税制の要望がまとまらなかった。幹事長がこの件で首相に要請するが、政府はかなり重く受け止めると思う。政策決定の一元化に食い違いを来さないか。
「君も朝日新聞?朝日新聞も全く理解が少ないんじゃないの?私たちは、私の立場でどうのこうのっつうことじゃないんですよ。全国民から寄せられた要望を、党として要請するんであって、それを尊重するかどうかは、国民の意見をどの程度どういう風に判断するかっていう内閣・政府の問題であって、私が言ったから、言わないからっていう話ではありません。ここももう勘違いしないで、もう。私も選挙で選ばれてきている。みんな議員は選挙で選ばれてきている、国民が選んだもので、国民が我々に要望してきているんですから。その国民の要望をまとめて、我々の主張と同じくするものは、なるべく優先的に政府に対して扱ってほしいという要望をするんであって、決定するのは政府・内閣です。我々は要望するっつうだけです」
――今日の決定が遅れたのは、なんか幹事長から指示があったのか。
「今日の何?決定っつうのは」
――予算の要望についての決定を先送り。
「先送りしたわけじゃないですよ、なんも」
【外国人地方参政権】
――韓国で外国人地方参政権について「通常国会で現実のものになる」と言ったが、法案提出のメドは。党内に反対の声があるが。
「これも産経新聞、よく私の前から何度も言っていることだから、よう聞いておいてよ。私は基本的に、賛成の立場です、私個人は。ただ、この問題は、私は政府提案として、政府の姿勢、政府の、まあ、韓国がメーンですけれども、政策としての決定、という形でなされるのが私は一番いいだろうと思っております。党内で、賛否の論議があるのは十分承知しおりますし、私が代表のときにも、その議論を何度か重ねたことと思います。うーん、党内で賛否があるのは当然のことですけれども、最終的には、政府・内閣で決定して、提案されるというのが、私は、望ましいことだと思っております」
――幹事長に預かりとなっているが、ボールは政府にあるのか。
「何、預かりって?」
――幹事長の判断で。
「誰から?」
――政府と民主党の会議で。
「そんなこと言ってませんよ」
「私はあのう、ちょっと待って。個人はずーっと前から言っている通り、産経と真っ向対立するけど、賛成と言っているんですよ」
――よろしいですか。
「はい」
――参政権だが、採決時に党議拘束はかけないという判断か
「党議拘束うんぬんということではなくて、私は政府が提案するという形が基本的には望ましいと、そう思っております。そして、政府の提案するちゅうことは、我が党の政府の提案でございますから、そういう意味では、いろんな意見がもちろんあるのは十分承知してますが、何も参政権の問題だけじゃないすから、いろんな賛否があるのは当たり前のことで、いろんな意見があっても、もちろんそれでいいと思います。けれども、政府が提案するっちゅうことは、私どもの政府が提案することですから、普通の場合は、自分たちの政府が提案したことに賛成するのが普通じゃないすかね」
【整備新幹線】
――陳情要望で整備新幹線の取り扱いはどうなったか。
「あのう、整備新幹線、陳情の量から言いますと、整備新幹線、また、あのう、高速道路の建設。特に縦貫道の中で、まだまだ全国みるとつながっていないところが何カ所もありますから、そういう要望が非常に強いことは事実です。ですから、国民の皆様の要望が強いということであれば、当然その結果として、我々の要望にも載せて、政府に要請するということになるだろうと思います」
【憲法改正】
――憲法改正について聞きたい。
「ん?」
――憲法改正。来年、国民投票法が施行される。節目にどう対応するか。
「党としていま憲法改正をすべきだとかすべきでないとか、そういう議論と結論を出しているわけではありません。私個人の意見は、もう、マスコミがなんかものすごく、こう、なんちゅうかなあ、憲法の話になると、大きく取り上げて、どうだこうだという議論をされますけれども、私はこの、前からずっと前から言ってますから、君も先輩にでも聞いて調べてから言ってほしいんだが、私が憲法というのは、国民の生活を守り、よりよい国、社会を作るために、みんなで約束したルールだと。そして、それはあらゆる法規の中で最高の原則と基本を書いたものだと。ですから、みんなの、本来のいい国を作る、いい社会を作る、そのためのルールですから、時代が変わって、いやあ、この規定はこう直した方が、国民のためにはいいんじゃないか、というようなことなら直せばいい。他の国だって、憲法、しょっちゅうとは言わないけれども、改正ということは、ままあるでしょうか。だから憲法について、あのう、金科玉条のように、なんか天から神様から授かったかのような考え方は、これはまさに戦前の憲法観と同じだ。うん。だから、そうじゃなくて、私たちの憲法なんだという考えを君らもとらないとダメなんだ。私たちが作った、私たちの約束なんだ、というのが憲法なんだ。だから内閣も、私たちが選んで、私たちが作った内閣なんだという意識に立たないと、もう、まだまだマスコミはもう、御上崇拝の理念が抜けきれない。頭が。そこを意識転換しないと、我々の言っている主張が、たぶんあんまり理解できなくなっちゃう。だから憲法も、みんなが、みんなのために、ここ変えた方がいいなあ、と思うところがあれば変えればいいんで、そんなに、わあわあするような話ではないっちゅうのが、私の最初からの持論です」