【ワシントン=大島隆】米国が圧倒的な力を誇った時代が終わる一方で、中国も成長が緩やかになり、世界に覇権国家はなくなる。日本は人口減が響き、衰退が続く――。米国の情報機関が、4年間かけてまとめた報告「世界潮流(グローバル・トレンド)2030」で、18年後の未来をこう予測した。
報告書は、米中央情報局(CIA)など米国の情報機関を統括する「国家情報会議」が4年ごとに公表しているもの。
今後20年間の世界の動きを「(産業革命が起きた)18世紀半ばからの西洋の台頭が反転し、世界経済や政治でアジアが復興する」と予測。米国については、「経済力の相対的な衰退は避けられず、すでに起きている」と指摘した。軍事力やソフトパワーの優位で総合的な国力は2030年でもトップの地位を保つものの、「米国の支配的地位に並ぶ国がなかった『パックス・アメリカーナ』は幕を閉じつつある」とした。