大手を蹴ってベンチャーに入った人を「奇特な勇者」と称えるのではなく「合理的な選択をした人」と冷静に評価することからまず始めるべきかも。そういう感覚が共有された人の数も、よくいう「エコシステム形成」には重要だと思ったり。facebookだって10年前は影も形もなかったのだから。
— Kats Yoneshigeさん (@kyoneshige) 12月 10, 2012
vingowを運営する米重さんのツイートに共感したので書いてみます。
成長しているベンチャーに身を置くのは合理的
大企業、ベンチャー、フリーランスというジョブチェンジを繰り返している人間としても、「大手を蹴ってベンチャー」という選択肢は十分合理的だと思います。具体的な社名でいえば、「ソニーを蹴ってRettyへ」「パナソニックを蹴ってみんなのウェディングへ」「みずほを蹴ってvingowへ」「リクルートを蹴ってNPOフローレンスへ」などなど。
大企業のよいところは「新人教育に時間を掛けてくれること」、とはよくいいますが、新人教育が通過儀礼的な意味合いしか持たないことも多いのが事実です。ゆえに、転職や独立が前提の場合、それほど「大手の新人教育」は魅力的ではないと僕は思います。
これまた具体例でいえば、僕自身、大手半導体メーカーで半年ほど新人教育(マナー教育、工場研修など)を受けましたが、ぶっちゃけ今この時点で、役立っているかというとそんなこともないんですよね。工場の知識なんかは社内的には役立つので、会社に留まっている場合は有益なんでしょうけど、今となっては一般教養以上の意味はありません。
「大手を蹴ってベンチャー」の条件を考えてみる
もっとも、「大手を蹴ってベンチャー」が合理的になるためには、いくつかの条件があるでしょう。思い付くかぎり、こんなところでしょうか。
・比較的早期(入社数年程度)での転職・独立を考えている
・入社予定のベンチャーがぐんぐん成長している(市場全体も、その会社も)
・ベンチャーとはいえ、労働環境・待遇が良好(やりがい搾取ではない)
・入社予定の大手企業の成長が鈍化・停滞している
・大企業よりもベンチャーの方が個人としても成長できる予感がする
逆にいうと、
・転職・独立を考えていない(大企業で骨を埋める覚悟がある)
・入社予定のベンチャーの成長が停滞している(市場、会社自体も)
・ベンチャー企業の労働環境が悪く、新人を低賃金で雇用できる使い捨てとして見ている
・入社予定の大手企業がぐんぐん成長している
・ベンチャーよりも大企業の方が成長できる予感がする
なんて場合は、「大手を蹴ってベンチャー」は損な選択となるでしょう。無論、大企業がそうであるように、ベンチャーといっても一概に良いとはいえません。選択に迷った場合は業界に詳しい、周囲の社会人の意見を参考にしてみるとよいでしょう。
低迷する半導体業界と、ソーシャルメディアコンサルという成長業界の両方を経験した身としていえるのは、若いうちに身を置くなら、やっぱり成長が激しい分野です。
労働時間は長くなる可能性はありますが(僕はベンチャー時代も定時退勤してましたので人それぞれです)、スキルも磨けますし、人脈も広がりますし、同じベンチャーなら転職も比較的容易ですし、悪いことはそんなにないんじゃないかと思います。
強いてベンチャーのデメリットを強調するのなら、周囲に流されて長時間労働をして身体を壊す、というのが怖いぐらいでしょうか(若いうちは無理できるから、といって潰れていった同世代を僕は何人も見ています…)。
関連本。自身も起業家である小川さんの書籍。ベンチャーに行く場合は、この手の起業家本はたくさん読んでおくといいでしょうね。