全日本おばちゃん党:始動 大阪の中年女性中心に、フェイスブックで「党員」1000人超 谷口真由美さんに聞く
毎日新聞 2012年12月05日 東京朝刊
「オッサン政治劇場に嫌気がさした」−−。インターネット上のこんなつぶやきをきっかけに、大阪のおばちゃんたちが中心となり9月に「全日本おばちゃん党」を「結党」した。交流サイト・フェイスブック(FB)を舞台に、暮らしから政治まで井戸端会議を繰り広げ、今や「党員」は女性ばかり1000人以上。なぜ今「おばちゃん党」? 中心人物の一人、谷口真由美・大阪国際大准教授(37)に聞いた。【聞き手・反橋希美】
−−結党のきっかけは。
◆ちょうど民主党の代表選と自民党の総裁選をやっててんけど、テレビを見ても、ダークスーツのオッサンばかりでジジむさい。FBに「おばちゃん党でも作ったろか」と書き込んだら「ええやん」「入るわ」と共感の書き込みが来て。「政治にツッコミ入れる場を作りたい」と思って、シャレと勢いで作った。
「おばちゃん」という言葉を肯定的にとらえたかった。世間では蔑称みたいに思われてるけど、それは「女は若くなければ値打ちがない」という既成概念が生んだもの。ヒョウ柄やアメちゃんで象徴される「大阪のおばちゃん」しかり。おばちゃんには、おせっかいやら、自分を下げても人をバカにしないとか、エエとこがいっぱいある。
−−FBでは何を話しているんですか。
◆更年期のつらさや子どものおねしょから、領土問題にアフガニスタンまで何でもアリ。「暮らしのことは政治のこと」やからね。「縦」でつながるオッサンと違って、おばちゃんたちは肩書に関係なく横でつながるのがいいところ。意見が違っても認め合い、何となく議論が収束する。
−−「結党」にはどんな反応が?
◆男性中心社会の傾向が強い地方のおばちゃんたちの反響がすごかった。「周りに言っても理解してもらえない話が、ここでは共感してもらえた」って。「息子と選挙の話をしていたら、しゅうとめから『オナゴはそんなことに口出さんでええ』と言われた」という書き込みもあった。
−−おばちゃん党の目標は。
◆おばちゃん全体のボトムアップ(底上げ)。教員とか医師とか、一部のエリートの女性による運動やったらあかん。そういう人たちにとったら、どうやったら普通のおばちゃんに届くのか、分かりやすい言葉で話す練習になる。議論する場に慣れてないおばちゃんにとったら、自分の意見を言う練習になる。
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−−今の政治をどう思いますか。