年明け1月5日の東京・後楽園ホール大会でプロ2戦目に臨むボクシング界の怪物ルーキー、井上尚弥(19)=大橋=が10日、横浜市のジムで元WBA世界ミニマム級王者八重樫東(29)=大橋=との5回のスパーリングを披露した。10月2日の衝撃のデビュー戦以来、さらなる進化を遂げた怪物に、元世界王者も悲鳴を上げた。
もう誰も驚かない。プロ2戦目の19歳が10歳年上の元世界王者とスパーをやること自体がむちゃな話だが、井上の場合は普通のことだ。しかも、5回のスパーは井上が終始優勢に進め、最終回終了間際には激しい打ち合いも演じて見せ場を作る心憎さだ。
「いつもこんなもんですよ」とケロリの井上。その横で大橋秀行会長は「八重樫にもいぶし銀の持ち味があった」と気を使いながら「井上の判定勝ち。10月のデビュー戦以降、さらに進化した。何かは言えないが、あるディフェンス面の弱点があったんだけど、その弱点を常人では考えられない異次元の方法で克服している」と舌を巻いた。
井上のスゴさを体感した八重樫は「反応が早い。初動が速いから、スピード感がある。普通、パンチの打ち終わりを狙って打ち返すけれど、パンチとパンチの合間が短すぎて切り返すスキがない。頭を使わないと、行き当たりばったりじゃ戦えない」と絶賛。6月20日に世界ミニマム級統一戦で戦った井岡一翔との比較を尋ねると「言っていいんですか? 負けたボクが言うのもなんですが、モノが違う」とキッパリ。
12日には元世界スーパーフライ級王者名城信男(六島)とのスパーが予定される。名城は2階級上になるが、井上は「パンチをもらわなければいい。よそのジムの選手だから、緊張感のあるスパーになる」とニヤリ。名城も怪物のエジキになるのか? (竹下陽二)
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