その一

 「リセット2−足軽」の出演依頼がきたときは、メマイがした。
というのも、僕は以前「リセット1」を観客として観たとき、余りにも大胆な企画内容にグーの根も出なくなったからだ。
その企画とは!
台本の無い即興芝居で、80分ノンストップ一本勝負!
出演者の誰か一人でもストップをかけるような事があったら、その時点でこの企画自体が中止!
なんじゃ、そりゃ!!
聞いてるだけで心臓に悪いじゃないか!!
よくもまあ、そんな空恐ろしい仕事が世の中に存在するもんだ!
しかし何はともあれ、ホント人事でよかった…と、その当時は胸を撫で下ろしたのだが…。
え?リセットの2やるの?誰が?オレ?
…世の中って一体…。
出演依頼が来た日のことを思い出すと、今でもメマイがする僕だった…。 

その二・関が原にロケハンに行って思った事

 関が原の駅に着いたときから頭痛を訴える人がいたりして、ああ…イワクつきの土地なんだなあ、とか思った。だけど、自分まで頭が痛くなりだした時にはビックリした。そのうち吐き気までしてきて、なんだか生きた心地がしなかった。
そんな状況の中で、400年も前にここであった殺し合いの事について考えた。半日で10万人以上の人が殺されたのだ。その史実に関して、僕は何の言葉も持てない。ただ、大きな鉛の塊が食道に引っかかっているような、そんな感じがするだけだ。

その三・撮影前の気持ち

 撮影前日から、とにかく僕たち出演者3人は一体化していた。移動するのも一緒、食べるのも一緒、笑うのも一緒、落ち込むのも一緒、風呂に入るのも一緒、寝るのも一緒、悪夢を見るのも一緒…。煮詰まっていた。 

その四・撮影後の気持ち

 あまり気持ちよくはなかった。後悔が残ったわけでは決してないが、自分の技量の限界を無理やり見せられたような感じだ。その夜、出演者達や監督と一緒に温泉に入った。湯船につかっていたら、みんな笑顔になった。 


- 森下能幸
- 田中要次
- 津田寛治
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