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敦賀原発“活断層”で廃炉の可能性も
12月10日 20時12分

敦賀原発“活断層”で廃炉の可能性も
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福井県の敦賀原子力発電所の断層について、国の原子力規制委員会は、専門家と評価する会議を開き、2号機の真下を走る断層が活断層の可能性があるという判断を示しました。
規制委員会の田中俊一委員長は「今のままでは再稼働の安全審査はできない」と述べ、敦賀原発の2号機は、運転再開できずに、今後廃炉になる可能性が出てきました。

原子力規制委員会の島崎邦彦委員と専門家4人は、敦賀原発で今月1日から2日間行った現地調査を受けて、断層を評価する会議を10日、開きました。
敦賀原発には、国内で唯一、敷地に「浦底断層」と呼ばれる活断層があり、島崎委員らは現地調査で、浦底断層とそこから枝分かれするように延びて2号機の真下を走る「D-1」という断層を中心に、地面を掘って断面を調べるトレンチ調査の現場などで検証しました。
10日の会議では、専門家から浦底断層について「活動的でその影響は計り知れない」という意見や、D-1断層の周辺の地層で見つかった“ずれ”については「D-1とつながっている可能性がある」という意見が出ました。
議論を受けて島崎委員は「専門家4人で大きく食い違う点は見られなかった」としたうえで、「2号機の真下を走るD-1断層が、活断層として活動していて、浦底断層と同時にずれたと考えられる」と述べて、断層が活断層の可能性があるという判断を示しました。
国の指針では、活断層の上に原子炉などの重要な施設の設置を認めていません。
10日の判断について、規制委員会の田中俊一委員長は「今のままでは再稼働の安全審査はできない。規制委員会で意見を聞いて判断したい」と述べました。
10日の専門家との会議を受けて、規制委員会は、近く委員5人で議論することにしていて、規制委員会が正式に判断すれば、敦賀原発2号機は運転再開できずに、今後、廃炉になる可能性が出てきました。

“運転再開判断する段階に至っていない”

評価会議のあと、原子力規制委員会の島崎委員らが記者会見し、敦賀原発の運転再開について、「田中委員長の認識と同じで、現状では、そうしたことを判断する段階に至っていないと認識している」と述べました。
また、日本原子力発電が追加の調査を行うとしている方針については、「きょうまでに集まっている情報で1つの判断を下したということだ。今の時点での結論を出した」と述べて、追加調査を待たずに最終的な判断を下す考えを示しました。
島崎委員は「事業者は、基本的に活断層でないことを証明するために調査をしているので、それができないかぎりは、調査を続けなればならないことになる。われわれとは立場が違う」と話し、「今回は、調査が多岐にわたり詳細だった。きちんとしたデータがそろっていれば結論は一致する」と述べました。

日本原電が反論“到底受け入れがたい”

国の原子力規制委員会が、敦賀原発2号機の真下を走る断層が活断層の可能性があると判断したことについて、日本原子力発電は、反論のコメントを発表し、「評価会合では、大規模なトレンチ調査などでD-1断層が活断層の可能性はないことを説明した。しかし、きょうの会合ではD-1断層の近くで見つかった地層のズレについて、主に変動地形学的な視点からの可能性だけで審議が進められ、今回のような取りまとめになったことは、到底、受け入れがたい。追加の調査を早急に進め、客観的なデータに基づいて主張を実証していく」としています。

敦賀市長“規制委の判断注目したい”

敦賀原発が立地する福井県敦賀市の河瀬一治市長は「科学的根拠に基づいて非常に危険だと判断されれば、40年来、原子力と共に生きてきた敦賀市としては非常に寂しいことだが、やむをえないことだ」と述べました。
そのうえで、河瀬市長は「まだ完全に活断層だと明確な判断がなされたわけではないので、今回の会合に基づいて、近く規制委員会が出す、しっかりとした判断に注目したい」と述べました。
また、福井県の西川知事は「立地地域と県民が理解し、納得できるような調査とすべきで、国として、きょうの見解に対する十分な科学的根拠を示してほしい」というコメントを発表しました。

官房長官“今後の状況注視したい”

藤村官房長官は記者団に対し、「原子力規制委員会の田中俊一委員長は、個人的な印象という言い方で話をしたと思う。今後、有識者会合が報告書を取りまとめて、規制委員会で最終的に検討するという手順だと思うので、途中の段階で予断を持ってコメントすることは差し控え、今後の状況をよく注視していきたい」と述べました。

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