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【競馬・ボート】

勝利の女神の試練に耐えたティサージュ

2012年12月10日 紙面から

 「第64回阪神ジュベナイルフィリーズ」(GI・9日・阪神・芝1600メートル)は直線で15番人気のクロフネサプライズが抜けだしたところを5番人気のローブティサージュがクビ差かわし、鮮やかな逆転劇で2歳女王となった。タイムは1分34秒2で、3着は10番人気レッドセシリア、1番人気コレクターアイテムは4着。秋山真一郎騎手(33)は土曜の朝日チャレンジCに続く連日の重賞勝ちで、今年のNHKマイルCに続くGI2勝目。開業4年目でブレーク中の須貝尚介調教師(46)は同じく皐月賞、菊花賞に続く3勝目。

 急坂、向かい風、それに伏兵馬の粘り。5番人気にも「世代トップクラスの能力があります」と胸を張って臨んだ秋山とローブティサージュに、ラスト100メートルから勝利の女神が次から次へと試練を与えた。

 1枠1番からいかに戦うか。秋山はひと晩悩んでも結論が出せず、この日のレース傾向から「スタート直前に内を突こうと決めました」。中団のインで流れに乗り、4コーナーでの手応えは絶好。直線入り口で前がカベになったが「左斜め前にスペースがあったんで」すんなり馬込みからも抜け出せ、先に動いたクロフネサプライズを目がけスパートをかけた。

 だが、今春のNHKマイルCをカレンブラックヒルで圧勝した時のように、容易には勝利の女神はほほ笑んでくれなかった。「クロフネサプライズをかわしたんですが、差し返されて。風がきついのと坂もあって(脚色が)鈍ったのかも」と秋山。それでもポテンシャルを信じて必死に追い、クビ差で2歳女王のタイトルをもぎ取った。

 「ホッとしました」と秋山は安堵(あんど)の表情を浮かべ、「最後はよく頑張ってくれました」と、勝負根性に頭を下げた。このレースに2頭を送り出した須貝調教師は、もう1頭のコレクターアイテムが1番人気で4着だったこともあって胸中複雑だが「ジョッキー時代から仲良くしてる秋山騎手で、GIを勝てたことがうれしい」と、この瞬間だけは満面の笑みを浮かべた。

 このあとは近日中に放牧へ出してリフレッシュを図り、3歳牝馬の王道を歩む。「きょうはギリギリの体だったようにまだ少女。でも、来年には女らしい体つきになってるはずです」と須貝師が言えば、秋山も「距離は延びても大丈夫。むしろ距離が延びた方がいいです」と来春に思いをはせる。桜咲く頃、同じこの舞台で大人になったローブティサージュが再びスポットライトを浴びている。 (武田和則)

 

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