地球温暖化対策への取り組みを話し合うため、カタールのドーハで開かれていた国連気候変動枠組み条約の第18回締約国会議(COP18)が閉幕した。今回の会議は世界の温暖化対策が2つの点で節目を迎えたことを示す。
ひとつは中国や米国など温暖化ガスの大排出国を含め、すべての国・地域による協力体制づくりに踏み出した点だ。COP18の最大の成果である。
先進国にだけ温暖化ガスの削減を義務づけた京都議定書から、すべての国・地域が参加する「ポスト京都体制」づくりに向け、中国など新興国に応分の負担を求める。2015年までに新体制を決め、20年からの発効を目指す。交渉は着実に前進した。
もうひとつは先進国の姿勢に陰りがはっきりみえてきた点だ。
京都議定書は来年から第2約束期間が始まり、20年まで続く。しかし日本やロシアがこれ以上の削減義務を拒み、議定書の下で削減を進めるのは欧州連合(EU)と豪州など、温暖化ガス排出量で世界の15%の国々にとどまることになった。EUは20年までに1990年比で20%を減らす約束だが、そのうち18%は達成済みだ。今後の実質的な削減幅は小さい。
COP18で途上国や環境団体は目標の引き上げを強く求めたが、応じた先進国はない。日本も20年までに25%削減する自主目標を見直す議論が始まっている。11月の米大統領選は4年前と違い、温暖化は争点にならなかった。
先進国は財政危機や雇用問題など国内の課題を抱え、地球環境問題に政治的関心を向ける余裕をなくしている。温暖化のリスクを軽視する風潮の広がりもある。
しかし手をこまぬいていては取り返しのつかない災害や環境破壊を招く恐れがある。北極海の海氷の縮小やハリケーンの大型化などは温暖化の影響との見方も強い。
ポスト京都体制への議論の本格化にあたり、米中の二大排出国の責任は大きい。国際交渉が求心力を回復し、温暖化抑止に実効性の高い枠組みができるよう両国に思い切った歩み寄りを求めたい。
日本も国内問題に気をとられ国際社会への責任を見失ってはいないか。省エネ技術に磨きをかけ、それらを新興国に供与するなど、世界の温暖化対策にもっと貢献するときだ。民間の資金や意欲を引き出す新しい仕組みづくりにも知恵を絞ってもらいたい。
EU、COP18、温暖化、温暖化ガス
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