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【社会】

国立天文台・野辺山観測所 太陽電波望遠鏡 15年に運用終了

 国立天文台が二〇一五年三月、太陽観測を地上から衛星に切り替え、野辺山太陽電波観測所(長野県南牧村)の太陽電波望遠鏡(野辺山電波ヘリオグラフ)は運用を終える。近年、太陽の活動の異変が相次いで報告されていることから、国内外の研究者は観測継続の必要性を訴えている。

 野辺山の太陽電波望遠鏡は一九九一年度に建設され、九二年度から運用が始まった。直径八十センチのパラボラアンテナ八十四基を並べて一つの望遠鏡のように使い、太陽全体の活動を観測できる。国内外の研究者が利用し、最近十年間の稼働率は99%を超える。

 現在、米国と中国でも太陽電波望遠鏡計画が進み、望遠鏡を利用する研究者が両国に流れる可能性がある。国立天文台の小林秀行副台長は「衛星への切り替えと望遠鏡の新設を考えると、今後、野辺山の需要は減っていくとみている。これまで一定の成果を出した」と話し、運用停止もやむ得ないとの見方を示した。

 太陽の表面では近年、活動の活発度合いを示す黒点数が減少。同観測所は「この二十年間で太陽の活動は七割ほどに低下」とのデータも公表。太陽の極の磁場が反転するタイミングが大きくずれる不可解な現象も発生しており、「氷河期が来るのではないか」など、地球への影響が懸念されている。

 観測所の柴崎清登教授は「こういう(太陽の)状況だからこそ、日本が電波望遠鏡を持って太陽観測を続けることが重要になる。ここで観測を続けさせてほしい」と訴えている。

<太陽電波望遠鏡> 目に見えない暗い場所にある物を赤外線で見る暗視装置のように、電波を利用して可視光では見えない太陽の姿を観測する望遠鏡。磁気嵐を発生させて地球にも停電をもたらす太陽表面の大爆発「太陽フレア」や、太陽活動の強さを知る基準となる黒点などを観測できる。

 

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