冬の味覚の王者「トラフグの白子」を大量生産する技法の開発に東京海洋大や長崎県総合水産試験場などが成功し3日、発表した。
別の種であるクサフグを「代理親」にして、オスの子どもだけが繁殖するトラフグを作ることで、「白子(精巣)」の大量生産につながるという。
トラフグは、白子が珍重され、メスよりオスが3割ほど高い値段で取引される。研究チームは、トラフグの精巣から精子の元となる細胞を取り出し、生まれて数日のクサフグのメスの腹に移植。移植した細胞はクサフグの卵巣へ移動し、クサフグは成熟すると卵を作った。
クサフグの卵の遺伝子などを分析した結果、トラフグ由来のものと判明。トラフグのオスの遺伝子を受け継いでいることで、この卵から繁殖したトラフグのうち4分の1はオスの子供しか生まれない精子を持つ「超雄(ちょうおす)トラフグ」であることが確認できたという。
東京海洋大の吉崎悟朗教授は「サケやマスのような卵の大きい川の魚ではできていたが、海の魚では、世界初の技術。オスしか生まれない精子を持ったトラフグが流通すれば『白子』がもっと身近になる」と話している。(田中誠士)