愛知県蟹江町の会社員、山田喜保子さん（当時57）宅で2009年、家族３人が殺傷された事件で、県警蟹江署捜査本部は７日、中国籍の無職、林振華容疑者（29）＝津市栗真町屋町＝を強盗殺人などの疑いで逮捕した。捜査本部によると、「間違いない」と容疑を認めている。

　山田さん方から検出された犯人とみられるＤＮＡ型が、三重県内の別の窃盗事件で逮捕された林容疑者のものと一致した。捜査本部は、犯行の経緯などを詳しく調べる。

　逮捕容疑は09年５月１日夜から翌２日正午ごろにかけ、山田さん方で喜保子さんと次男の雅樹さん（当時26）を殺害。三男の勲さん（28）にもけがをさせ、現金約２万２千円などを奪った疑い。

　山田さん方から見つかった遺留品から、山田さんの家族以外のＤＮＡ型が検出され、三重県警が10月に車の窃盗容疑で逮捕した林容疑者のものと一致した。

　捜査本部によると、林容疑者は留学目的で来日。三重大学によると、06年４月に同大の人文学部文化学科に入学し、昨年３月に卒業した。日本史や日本文化を学んでいたという。来日後は三重県内で生活を続けていたとみられる。

　これまでの調べでは、山田さん方に押し入った男は、勲さんに「金ないし、２日間寝てない」などと語っていた。捜査本部は、林容疑者が経済的に困窮していた可能性もあるとみて、動機などを調べる。

　また山田さん方の床には血をふき取った痕があり、水を張った風呂場の浴槽内からは血が付いた毛布やタオルなども見つかっている。捜査本部は、林容疑者が証拠隠滅を図ろうとした疑いもあるとみている。