政党機関紙配布:元社保庁職員の無罪確定へ 最高裁

毎日新聞 2012年12月07日 15時52分(最終更新 12月07日 16時22分)

 国家公務員が休日に政党機関紙を戸別配布したことが刑事罰に問えるか否かが争われ、2審で無罪、有罪の判断が分かれた2件の国家公務員法違反事件の上告審判決で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は7日、いずれも上告を棄却した。このうち検察側が上告した元社会保険庁職員、堀越明男被告(59)については2審の無罪が確定する。政治的行為の制限を巡る最高裁の無罪判断は初めて。

 1、2審有罪で被告側が上告していた元厚生労働省課長補佐、宇治橋真一被告(64)については罰金10万円が確定する。

 別々の事件で逮捕された2人は、03年や05年の衆院選前に共産党機関紙「赤旗」をマンションの郵便受けに配布したなどとして起訴された。1審はいずれも有罪だったが、堀越被告の2審は罰則適用を違憲として逆転無罪とした。2人は国家公務員の政治的行為を制限する同法の規定が、憲法が保障する「表現の自由」に違反すると主張していた。

 【ことば】政治的行為の制限

 国家公務員法102条は「政党または政治的目的のために人事院規則で定める政治的行為をしてはならない」などと禁止規定を定め、人事院規則はその行為を「政党や政治的団体の機関紙や刊行物を発行、編集、配布する行為」などと規定する。違反した場合は3年以下の懲役または10万円以下の罰金(現在は100万円以下)。地方公務員には同様の刑事罰規定はない。

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