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最高裁 国家公務員の政治的行為認める判断
12月7日 15時53分

最高裁 国家公務員の政治的行為認める判断

国家公務員法が禁止する政治的行為について、最高裁判所は「中立性を損なう具体的なおそれがある場合に限られる」という初めての判断を示し、政党の機関紙を配布した旧社会保険庁の職員に無罪の判決を言い渡しました。
政治的な中立性が求められ、従来、厳しく制限されてきた国家公務員の政治的行為が、立場などによっては認められる判断となりました。

旧社会保険庁の職員で現在の日本年金機構の堀越明男准職員(59)と厚生労働省の元課長補佐宇治橋眞一被告(64)は、いずれも休日に日本共産党の機関紙を配布したことが、国家公務員法が禁止する政治的行為に当たるとして起訴されました。
2審の東京高等裁判所は、准職員を無罪とした一方で、元課長補佐に対しては罰金10万円を言い渡し、判断が分かれていました。
判決で最高裁判所第2小法廷の千葉勝美裁判長は「政治的行為が禁止されるのは公務員の地位や権限などを総合的に考慮したうえで、中立性を損なう具体的なおそれがある場合に限られる。こうしたおそれが認められないケースでは政治的行為を禁止すべきではない」という初めての判断を行い、堀越准職員については無罪を言い渡しました。
一方で、管理職に近い立場で職員の指導や監督を行っていた宇治橋元課長補佐については有罪を言い渡し、それぞれ確定することになりました。
国家公務員の政治的行為は政治的な中立性が求められることから従来、厳しく制限されてきましたが、立場などによっては認められる判断となりました。
無罪が確定することになった堀越准職員は「無罪と認められたが、自分の仕事にも管理的な業務はある。立場の違いがあるからと言って判断が違ってしまうのは納得がいかない」と話しました。
また、有罪が確定することになった宇治橋元課長補佐は「ひどい判決だ。管理職に近い立場だと言うが、なぜ、それが有罪の理由になるのか」と判決を批判しました。
判決について最高検察庁の長谷川充弘公判部長は「それぞれの事件の内容に応じて判断が示されたものであり、真摯に受け止めます」とコメントしています。

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