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| サガンJ1元年 ホーム最強11勝で5位 | ||
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サッカーJ1サガン鳥栖は、J1初参戦となった今季リーグ戦を15勝8分け11敗(勝ち点53)の5位で終えた。最終節で敗れてアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場は逃したものの、昇格初年度のチームとしては順位、勝ち点とも過去最高の成績を残した。開幕前の“降格候補”という下馬評を覆した一年。中でも、リーグトップの11勝を挙げたホームでの強さが際立った。 昨季はJ1に昇格したばかりの甲府、福岡の2チームが1年でJ2に逆戻りした。今季も同じ昇格組の札幌が“J1の壁”に跳ね返されて最下位。その一方で鳥栖は、昨季から取り組んできた守備からリズムをつくるサッカーを継続、発展させた。全員がチームのために「ハードワーク」を怠らず、シーズン序盤の勝ち点で自信をつかむと、常に中位以上をキープ。終盤には一時3位に立つなど大躍進した。 今季の総得点「48」はリーグ8位で、総失点「39」は同4位。得失点差「プラス9」は、リーグで4番目にいい数字で、攻守のバランスの良さがうかがえる。 躍進の要因には、守備の安定が挙げられる。昨季のディフェンスリーダー・木谷が開幕前の大けがで長期離脱したものの、新加入のDF金根煥(キム・クナン)とベテランの小林が、その穴を埋める活躍を見せた。FW陣を含めた全員が高い守備意識を持ち、前半戦は17試合中7試合が無失点。リーグ最少失点をキープし、接戦の中で勝ち点を積み重ねた。 攻撃では、エースのFW豊田が大車輪の活躍を見せた。昨季J2得点王に輝いた実力をいかんなく発揮。ゴール前の高さや力強さに加え、巧みな駆け引きで得点を量産し、リーグ2位の19ゴールとJ1屈指のストライカーに成長した。中盤の要・主将のMF藤田も、アシストだけでなく、チーム2位の6ゴールをマーク。横浜F・マリノスから期限付き移籍で加入したMF水沼は勝負強さに加え、豊田との“ホットライン”も光った。後半戦ではカウンターやセットプレーだけでなく、連動してサイドを有効に使い相手を崩す攻撃の進化も見られた。 今季のホームゲームは11勝3分け3敗で、優勝した広島の10勝を抑えて単独トップ。ホームだけで勝ち点36を稼いだことが、躍進につながった。藤田が「ベアスタは慣れ親しんでいてやりやすい」と語るように、選手たちはホーム戦に絶対の自信を持っている。逆に4勝5分け8敗と苦戦したアウェーでいかに勝ち点を拾っていくかが、今後の課題となる。 ホームゲームの平均入場者は1万1991人で、昨季から4千人以上増えた。序盤戦は1万人を割るゲームもあったが、チームの好成績に比例するように増え、ホーム最終戦の浦和戦は、リーグ戦で過去2番目に多い2万2116人を集めた。それでもJ1全体では大宮に次いで2番目に少ないだけに、来季はさらなる盛り上がりに期待したい。 J1元年での好成績はチームの大きな自信につながるが、優勝争いの常連だったガンバ大阪がJ2に降格したことが示すように、J1は決して気を抜けるリーグではない。来季もこれまでと同様、目の前の一戦に全力を尽くし、まずは残留、そして上位を目指していくという姿勢が重要だ。 続投が決まっている尹晶煥(ユン・ジョンファン)監督のサッカーを、来季さらに成熟させていくためには、豊田をはじめとした主力選手の残留が不可欠。オフの効果的な補強に加え、終盤戦に存在感が光ったFW野田のような若手の台頭も欠かせない。 |
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| 2012年12月03日 更新 |