磯山友幸「経済ニュースの裏側」

中央省庁の壁は、防潮堤よりも厚かった---相沢光哉・宮城県議会議員も憤る「森の防潮堤」が実現しないワケ

2012年12月05日(水) 磯山 友幸
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「いのちを守る森の防潮堤」を提唱する相沢光哉氏(宮城県議会議員)

 東日本大震災の被災地で発生したガレキの最終処分はいまだに大きな問題である。政府は全国の自治体に引き受けを要請しているが、放射能汚染などを不安視する住民の反対などでなかなか進まない。そんな中で、宮城県議会が全会一致で、ガレキを埋め立てて丘を作り、それを防潮堤にしてしまおうという案を打ち出した。ところが、政府の答えは「No」。規制の壁に阻まれ、住民が望まない巨大堤防の建設が進む。「中央省庁の壁は、防潮堤よりも厚い」と憤る相沢光哉・宮城県議会議員に聞いた。

聞き手: 磯山友幸(ジャーナリスト)

 

---相沢さんは宮城県議会で、「いのちを守る森の防潮堤」推進議員連盟の会長として、震災ガレキを活用した防潮堤の実現を求めておられます。

 横浜国大名誉教授の宮脇昭さんの「いのちを守る森の防潮堤」の提案(著書『瓦礫を活かす「森の防波堤」が命を守る』)を知って、「これはいい!」という事になり、私が県会議員に呼びかけて議連を立ち上げました。

 震災から1年が経った今年3月のことです。議会には与野党議員が59人いるのですが、全員一致で立ち上げた議連です。自民党だけで議連を作ることはよくありますが、共産党まで参加した議連というのは、県議会で初めてです。実現に向けて様々なアピールをしてきましたが、防潮堤の壁より、中央省庁、法律の壁の方が厚いということを改めて実感しています。

 9月の県議会では、住民合意を尊重した海岸防潮堤の建設について、全会一致で決議しました。現在、防潮堤の建設に関しては、国が一方的に決めているのですが、「森の防潮堤」などのアイデアも含め、周辺住民の合意を前提に進めてよ、という決議です。震災復興に当たっては住民の合意が前提だと言うのですが、国も県もしっかりやっていないのが実情なのです。

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