トンネル崩落:00年の打音検査でナットの緩み見つけ補修
毎日新聞 2012年12月06日 00時38分
中央道・笹子トンネルの天井板崩落事故で中日本高速道路は5日、日本道路公団時代の00年に実施した打音検査で、天井板を支えるつり金具をトンネル最上部にボルトでつないでいるが、それを締めるナットの一部に緩みが見つかり、01年にかけ補修していたことを明らかにした。だがその後はこの教訓を生かさず、一度も打音検査をしなかった。
中日本は「最上部の接合部の打音検査をした記録はない」としていたが、関連会社への聞き取りで判明したといい、説明を一転させた。99年の山陽新幹線福岡トンネル崩落事故を受け、仮足場を設けて行ったという。
同社によると、点検はその後、05年と今年9月に実施。05年は天井板の下から、今年は天井板の上からの目視にとどめていた。同社は「補修で健全性が回復していると判断した」と説明した。
また現場の状況について、天井板の上の設備が「すべて落下していた」とし、ボルトの落下を引き金に、天井板の上のダクトの隔壁、天井板の順で落ちたとの見方を示した。
一方、4日の国土交通省事故調査・検討委員会の現地調査で、接合部のボルトに目立った腐食がなかったことも分かった。【沢田勇、松田真】