[月刊チャージャー]

まずは疑って係!
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【調査】まずは疑って係!/NPO法人『地球生物会議 ALIVE』の代表者に聞いてみました ショップで売れ残った犬はどうなるの?
 
あまりにも不幸な犬をなくすため、
何をすればいいのだろう?
野上さんによると、日本のペット業界の現状は3つの大きな問題を抱えている。まず『過剰繁殖』。たとえばドイツなどでは、母犬に出産させるのは1年に1回、5回までという決まりがあるが、日本には何も規制がない。ブリーダーは流行の犬種が売れるうちにできるだけたくさん子どもを産ませようとして、母体がボロボロになってしまうのだ。シベリアンハスキーやゴールデンレトリバー、ミニチュアダックスなど、犬種の流行が一段落した後は、保健所にその犬種があふれるという。

あまりにも不幸な犬をなくすため、何をすればいいのだろう?次に『近親交配』の問題だ。2ページでも紹介したように、モラルの低い過剰な繁殖のなかでは当然のように近親交配が増え、奇形や遺伝的な病を抱えた子犬が生まれてしまう。そうとは知らずペットショップで買ってきた犬が近親交配による問題を抱えていたら、飼い主が行政に持ち込んで、里親も見つからず、殺すことになってしまうことが多いのだ。

さらに『劣悪な繁殖施設』の問題もある。民家やビルの一室にケージを並べ、運動もさせずにひたすら繁殖させるようなケースは珍しくない。ペットショップの犬たちは、虐待によって大量生産されているのが現状ともいえる。

こうした問題を減らすために「繁殖・販売業者は、試験を受けて合格することが条件の免許制にするべき」と野上さんは指摘する。ヨーロッパなどのブリーダーはライセンスが必要で、犬種を健全に維持するためのプロフェッショナル。でも、日本では動物についての知識も浅いまま、ホームブリーダーとして繁殖に手を出す人も多いのが現状だ。

もちろん、悪いのはブリーダーや展示販売をするペットショップだけじゃない。いくら業者への規制を強めても、展示販売されている子犬を「かわいい!」と衝動買いしたり、飽きたといって保健所に持ち込むことを繰り返す飼い主がいる限り、根本的な問題は解決しない。

無理な繁殖と劣悪な展示販売の弊害で問題を抱えた動物を生み出すペット業界の現状は、動物保護だけではなく消費者保護の意味でも問題があります。感染症や遺伝病のリスクが高い方法で犬を販売・繁殖する業者には、瑕疵担保責任が当然に問われます」(野上さん)

市民の意識が高いヨーロッパでは、犬を飼いたいと思った人はまずアニマルシェルターに行って里親になるのが一般的。日本でも、たとえば「行政の動物愛護センターにアニマルシェルターとしての機能を強化して、犬はそこから手に入れるというシステムを確立することも必要」(野上さん)といえる。

ペットショップで売れ残った犬が保健所で殺処分されたり、実験動物として殺されることは、誰もが「かわいそう」と思うはず。でも、犬たちを殺しているのは、ほかならぬボクらの身勝手な愛情だと知っておく必要がある。
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