高濱 本来は夫が話を聞いてあげればいいのですが、どこか食い違ってしまう。男は理詰めの話が好きだけれど、妻はそんなことを求めていない。要点だけ言ってくれ、なんていうのも嫌いです。
女性にすれば要点だけで付き合ってどうするのと。女性同士の会話では要点は必要ないですからね、そういう性差があることをお互いに理解して付き合えばいいのですが、なかなか難しい。
妻たちが「人としてどうなの」と感じている基準は、実は「人」ではなく「女性」の基準で、男には当てはまらないし、逆も真なのです。『夫は犬だと思えばいい。』という本では、別の生き物だという痛感と異性への想像力を持つことで、双方幸せになれるよということを書いています。
川嶋 大半の女性はいわゆる数学的なものを拒否しながら生きているということですか。
高濱 拒否というよりも、つくりが違う。男は論理が好きだし突き詰めたくなるけれど、女性はそうでもない。数学が得意な女性もいますが、数学オリンピックなどでも賞を取るのは男のほうが多い。男のほうが向いているということはあると思います。
女性が数学を学ぶことの面白さ、喜びを分かれば子供たちにも絶対にいい影響がある。だから、母親たちを楽にすることで、結果として子供たちが生き生きとする仕組みを作りたいと取り組んでいます。
7歳の子供に数学の根源的な疑問を抱かせるサイエンスショー
桜井 僕は大学生の頃から20年間、予備校で高校生を指導してきました。しかし、教壇に立つたびにジレンマに襲われていたんです。こうやって教えて東大や東工大に入ったところで、入った途端に数学の勉強をしなくなるということが分かっているわけですから・・・。
受験合格請負人というのも僕の本意ではなかった。そういうことをする塾の先生はほかにいっぱいいるわけだから、任せておけばいい。それで僕は塾にまで来て「勉強」することはないと生徒に話していたんです。
そもそも君たちは「勉強」という2文字を真面目に考えたことがあるのかと。「勉める」ことを「強いる」と書く。強いられるわけです。僕は中学1年の時にそれに気づき、「勉強しない宣言」をしました。
「学習」と「勉強」は雲泥の差です。英語には「learn」(学ぶ)と「study」(研究する)がありますが、勉強に相当する英単語を僕は知りません。要は勉強よりも学習を大切にするということです。
「学ぶ、習う」の先にはもっとクリエイティブな高度な世界がある。「勉強」だけなんかしていたら絶対にクリエイトすることはできない。
僕はインテリを育てるつもりはありません。職業に関係なく人間として数学を学ぶ幸せ、数学を学ぶことの面白さを知ってほしい。数学は私たち人間の標準装備の能力なんです。
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