日本が中国・韓国より決定的に優れているわけ

ノーベル賞・フィールズ賞受賞で圧倒している歴史的背景

2012.12.04(火)

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桜井 江戸時代は平和な時代で商売が発達し、計算は普通の庶民にも必要なことでした。その日常生活の中にある計算について、塵劫記にはたくさんの問題が載っている。米や俵や枡などを使った生活に密着した問題で、それが非常に高度なんです。

 その本が出たことで数学熱がさらに高まった。みんなが問題を解きたいと夢中になったんですね。将軍まで解いているんですから。庶民から将軍まで数学に熱狂した時代なんてどこにもない。日本の江戸時代後期だけです。

高濱 以前出演した「情熱大陸」というテレビ番組で紹介した中で一番評判がよかったのは、電柱の高さを葉っぱで測るというものでした。

 直角二等辺三角形の直角を作る2辺の長さは同じという定理を利用したもので、葉っぱを折り曲げて45度の角度を作り、それを利用して電柱から45度の地点を見つければ、電柱からの距離が電柱の高さに等しくなるというわけです。

 それと同じようなことが塵劫記に書かれていてビックリしたことがあります。塵劫記では葉っぱではなく手ぬぐいか何かを使うのですが・・・。葉っぱの話がウケたのも、日本人はやはり数学大国の末裔だからですね。日本人は元来そういうのが好きなんですよ。

子供の数学が伸び悩む背景に、孤立した母親の存在が

川嶋 我われ日本人は数学大国の末裔なのに、数学が嫌い、苦手だという人が多いのはなぜなんでしょう。

夫は犬だと思えばいい。』 (高濱正伸著、集英社、1200円・税別)

高濱 子供の数学が伸び悩む背景の1つに、母親の存在、意識があります。文系の母親というのは、心の底では算数や数学はつまらないものだと思っていて、言葉の端々にそれが出るんです。

 「算数なんてさっさと終わらせれば本をたっぷり読めるでしょ」とか、そういう言い方をする。イヤな算数、数学は早く終わらせちゃいましょうと、子供を洗脳しているわけです。

 逆に理系の母親にも落とし穴があります。自分の水準が高いから、「なんでこんなことが分からないの」というような言い方をして子供を算数嫌いにさせている。子供は楽しく算数をやっていたはずなのに、そういう大人の言葉が芽をつぶしてしまうんです。

 別にその母親はダメ親ではなく愛情に満ちているんですが、自分を客観的に見ていない。そして不安定で大らかになれないという状況があります。それは話し相手がいないからです。男は仕事もあるし外で評価されたりして頑張れるんですが、母親たちは孤立し、イライラしています。

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