大阪2児餓死:母親の控訴を棄却 懲役30年 大阪高裁
毎日新聞 2012年12月05日 11時24分(最終更新 12月05日 13時21分)
大阪市西区のマンションに3歳の長女と1歳の長男を閉じ込めて餓死させたとして、殺人罪に問われた母親の中村(旧姓・下村)早苗被告(25)に対する控訴審判決で、大阪高裁は5日、有期刑上限の懲役30年を言い渡した1審・大阪地裁判決を支持し、被告の控訴を棄却した。森岡安広裁判長は「刑事責任は重大で、量刑が重すぎるとは言えない」と指摘した。
ごみや汚物が散乱した自宅で、被告が子ども2人の姿を最後に見た10年6月9日の時点で、2人が死に至る危険性を認識していたかどうかが争点だった。森岡裁判長は1審の判断を踏まえ「相当の衰弱を目の当たりにしており(家に閉じ込め放置すれば)死に至る危険性を認識していた」と認定。さらに1審同様に「餓死に至るまでの2人の絶望は想像を絶する」と非難した。一方で、「親族や公的な援助で、事件を未然に防げる可能性もあった」とも言及した。
控訴審で被告は「2人を放置することが危険とは思わなかった」と述べた。弁護側は、被告には幼少期の虐待のトラウマから現実逃避の傾向があり、2人が餓死するという具体的な認識を持てなかったとして、保護責任者遺棄致死罪にとどまると主張していた。
判決によると、被告は10年6月9日、食事を与えなければ死亡する可能性が高いと認識しながら、長女の桜子(さくらこ)ちゃん、長男の楓(かえで)ちゃんを自宅マンションから出られない状態にして放置し、同月下旬ごろに餓死させた。【渋江千春、牧野宏美】