いかがでしょうか?
夜に従軍記者が、連行される集団を下関埠頭まで追いかけて、虐殺シーンを目撃するというストーリ構成はほぼ同じです。従軍記者が下関で虐殺を目撃するという史料はこの回想記しかありませんから、本宮氏が元ネタにしたことは間違いないと思います。
真偽はともかく史料は存在する。これは事実です。なのに本宮氏はなぜ「今井記者」を登場させずに架空の従軍記者を登場させたのでしょうか? これは簡単ですね。今井回想記と本宮氏の漫画との相違点を比べれば容易に判明します。
本宮氏は史料に存在しない「老婆と息子を殺害するシーンを挿入したかった」また、「婦女子が連行されているシーンを挿入したかった」、また「婦女子が虐殺されたシーンを挿入したかった」のでしょう。要するに史料に存在しないシーンを挿入する目的があったので、架空の従軍記者が必要だったわけです。
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