特集ワイド:「嘉田新党」を考える

毎日新聞 2012年12月03日 東京夕刊

報道陣の質問に答える嘉田由紀子知事=加藤明子撮影
報道陣の質問に答える嘉田由紀子知事=加藤明子撮影

 「卒原発」を旗印とする「日本未来の党」(代表・嘉田(かだ)由紀子滋賀県知事)が、総選挙の公示直前になって登場した。“嘉田新党”の参戦で総選挙の構図はどう変わるのか。イタリアの「オリーブの木」のように既成政党に対抗することは可能なのか。合流した国民の生活が第一の影響は? 識者に聞いた。【江畑佳明、大槻英二、小国綾子】

 ◇結党の原点守れるか−−高千穂大准教授・五野井郁夫さん(33)

高千穂大准教授 五野井郁夫さん
高千穂大准教授 五野井郁夫さん

 「真の第三極」が現れたと言えるだろう。「真の」とは、脱原発を求める国民の声に寄り添い、将来のビジョンを打ち出しているという意味だ。対照的に、日本維新の会は「偽りの第三極」の様相が露呈しつつある。「偽り」とは、確固たるビジョンを持たないこと。世間受けする政策を掲げてはすげ替え、保守票も脱原発票も欲しがっている印象だ。石原慎太郎代表の考えと党の公約が一致しているかも疑問だ。

 「未来」が発表した「びわこ宣言」は「経済性だけで原子力政策を推進することは、国家としての品格を失い、地球倫理上も許されない」と述べている。非常にわかりやすく、国民の切なる願いに応えようという姿勢を感じる。官邸前や経団連前などで脱原発デモが続いている。「未来」はこのような動きと連動し、選挙後は原発政策の決定過程に大きく影響するポジションを得る可能性がある。これまで投票率の低かった若い世代が「未来」に関心を示せば、イタリアの「オリーブの木」のように政党連合への躍進もありうる。

 確かに、自民を除く他の政党も、脱原発を打ち出してはいる。しかし民主はマニフェスト破りの過去があり、政権与党として脱原発への踏み込んだ具体的プロセスを提示できていない。社民、共産に投票しても実効性があるのか疑問に思う有権者も少なくない。

 「シングルイシューで政党が成り立つのか」という批判が出ているが、原発以外の基本政策も、消費増税の凍結、雇用の拡大、TPP交渉入り反対など明快だ。エネルギー問題は国の最重要課題なので、そこで一致する政治家が集まるのは野合ではない。

 懸念材料があるとすれば「船頭多くして船山に上る」。つまり選挙後リーダーシップをめぐる派閥争いが起き、党が空中分解するおそれだろう。結党の原点を忘れないことが重要で、嘉田代表の手腕が問われる。

 ◇シングルイシューではない−−作家・落合恵子さん(67)

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