騒音訴訟:米、賠償100億円超不払い 日本肩代わり

毎日新聞 2012年12月02日 08時11分(最終更新 12月02日 18時12分)

小学校に隣接する米軍普天間飛行場に着陸する米軍機=沖縄県宜野湾市立普天間第二小で2012年3月、大治朋子撮影
小学校に隣接する米軍普天間飛行場に着陸する米軍機=沖縄県宜野湾市立普天間第二小で2012年3月、大治朋子撮影

 米軍機などの騒音被害を理由に原告住民への損害賠償を国に命じた全国12訴訟の判決確定で、日米地位協定に基づき米側が賠償金を負担しなければならないのに支払いを拒否している金額が、合計で100億円を超す可能性が高いことが防衛省や外務省への取材で分かった。米側は12訴訟の賠償金の負担分を一切支払っておらず、日本側が全額肩代わりして原告側に支払っている。米兵の犯罪時に度々問題化する地位協定だが、その規定を米側が守っていない実態が改めて明らかになった。

 地位協定18条は、米軍が損害を与えた民間人への賠償について、米側にのみ責任がある場合は賠償額の75%を米国、25%を日本が負担すると定めている。双方に責任がある場合はそれぞれが50%を負担する。

 防衛省によると、米軍が使用する基地を巡って住民が国を相手に提訴した騒音訴訟で、住民への賠償を命じる判決が確定しているのは▽嘉手納基地(沖縄県)▽普天間飛行場(同)▽横田基地(東京都)▽厚木基地(神奈川県)▽小松基地(石川県)−−を巡る12の判決。損害賠償金の総額は計約169億円。訴訟に伴う遅延損害金も含めると計約221億円になる。

 政府は各訴訟の米側の負担割合を明らかにしていない。損害賠償金だけを基に、米軍基地の嘉手納、普天間、横田を巡る訴訟で米側負担を75%、自衛隊と米軍双方が使用の厚木と小松の訴訟で米国の負担を50%とすると、米国の負担は計約112億5900万円になる。すべて75%と計算すると計約126億8100万円にまで膨らむ。

 防衛省地方協力局補償課は「米側の負担について地位協定に基づいて米側と交渉しているが調整がついていない」と説明。外務省日米地位協定室も「協議しているが米側の地位協定の解釈が根本的に違っている」と話す。

 協議の詳細については「米政府との信頼関係が損なわれる恐れがある」との理由で明らかにしていない。

 嘉手納基地を巡る騒音訴訟の弁護団長を務める池宮城紀夫弁護士は「日本側が肩代わりしている損害賠償金は国民の税金。地位協定を米側が守らないのは大変けしからん話だ。米側に強く請求できない日本政府も弱腰過ぎる。事件事故の捜査だけでなく、賠償の問題も地位協定の不平等性を示す大きな問題だ」と指摘している。【佐藤敬一】

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