【北京=大越匡洋】中国共産党は4日、2013年の経済政策運営について「持続的で健全な成長の実現」に軸足を置くことを決めた。今年の目標である「安定的で比較的速い成長」から転換。消費を中心に内需を拡大し、生産能力の過剰に苦しむ製造業の合併・再編を進めると強調した。成長一辺倒ではなく、中期的な安定成長を重視する姿勢をより鮮明にした。
習近平総書記が主宰した同日の政治局会議で決めた。習氏をトップとする新体制で初めてとなる政府と党が年に1回、共催する「中央経済工作会議」を近く開き、今回の方針に基づいて13年の経済政策運営の基本方針を正式に決定する。
国営新華社の配信によると、欧州の不振などを念頭に「世界経済の回復が明らかに緩慢になり、国内経済は下押し圧力が増す厳しい状況にある」と指摘。「経済成長はなお比較的多くの困難に直面し、様々な試練を見くびるべきではない」と厳しい認識を示した。
経済政策の目標については「物価水準の基本的な安定を維持し、経済の持続的で健全な成長を実現する」とした。昨年の中央経済工作会議で掲げた「経済の安定的で比較的速い成長と物価水準の基本的な安定」から軌道修正し、「比較的速い成長」に触れなかった。
今回も「穏中求進(安定の中で成長を図る)」「適時・適度な政策の事前調整・微調整」という従来の基本路線そのものは変えていない。「マクロ経済政策の連続性と安定性を維持する」とも表明した。ただ今年まで掲げた「積極的な財政政策」「穏健な金融政策」には言及しなかった。
一方で「けん引力の強い消費の新たな成長の種を育成する」「投資の安定的な増加を促す」などと表明。「積極的に内需を拡大する」として、過度な投資依存で闇雲に高い成長を追求する過去の路線とは一線を画し、消費主導の経済への転換をめざす色彩を強めた。
中国景気の減速ペースは緩んだとはいえ、インフラ投資の重視や、中国人民銀行(中央銀行)による緩和的な金融政策など、現行の政策運営が急激に変わる可能性は今のところ小さい。財政政策や金融政策についてあらかじめ枠をはめないことで、新指導部が柔軟に対応するための「のりしろ」を残したといえる。
経済構造改革を巡り、鉄鋼など国有企業を中心に深刻化している生産能力の過剰について「むやみな拡張を厳しく抑え、生産能力が過剰な業界の合併・再編を推進する」と強調。都市と農村の所得格差の縮小に向けて「都市化を積極的かつ確実に進める」とした。バブル防止のための不動産政策についても「不動産市場の引き締め策を強化する」との姿勢を示した。
さらに習体制の新政策として「海洋経済の発展」を打ち出した。具体的な内容には触れていないが、11月の党大会で「海洋強国の建設」を掲げた。中国はエネルギー消費が膨らむなか、国内の乱開発を抑えるためにも海洋権益の獲得を急いでおり、日本を含めた周辺国との摩擦がより激化する恐れもありそうだ。
習近平、中国共産党、新華社
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