報告書は「これらの数値は、現在の国民医療費増加のペースが中長期にわたりこのまま続いた場合の予想値で、このままだと将来的に国民医療費は、国家と家計の双方とも負担し切れないほど深刻なレベルに到達する可能性が高い」と警告している。
保険社会研究院のシン・ヨンソク副院長は「野党・民主統合党が大統領選挙の公約として提示した『医療費の自己負担分の上限を100万ウォン(約7万6000円)とする制度』や、与党セヌリ党の公約『がんなど4大疾病で症状が重くなった場合、国が医療費を全額負担する政策』などが実行に移された場合、国民は医療機関を今以上に頻繁に利用し、医療費はさらに早いペースで増加するだろう」と述べた。ただし「政府が病床数や医師の数、MRI(核磁気共鳴画像装置)などハイテク医療機器の台数などを調整した場合、2025年には国民医療費を228兆ウォン(約17兆3000億円)あるいは267兆ウォン(約20兆2000億円)へと、ある程度は減らすことができるだろう」との見通しも示した。
一方、韓国の国民が生涯にわたり負担する医療費総額は、今回の調査で1人当たり平均1億ウォン(約760万円)に達することが分かった。
保健産業振興院が2010年の健康保険公団支出医療費、国民の自己負担率に関するデータ、統計庁の生命表などに基づいて試算したところ、女性の1人当たり生涯医療費は1億1430万ウォン(約866万円)、男性は9589万ウォン(約727万円)だった。
年齢ごとの医療費の推移を見ると、生後1年から減少し始めるが、成人になると再び増加に転じ、死亡直前には急激に増加する。とりわけ65歳以降だと男性は生涯医療費の47.2%に当たる4526万ウォン(約343万円)、女性は51.2%に当たる5853万ウォン(約444万円)使うことも分かった。