NATO:シリア戦に備えトルコ国境に迎撃ミサイル配備
毎日新聞 2012年12月04日 18時46分(最終更新 12月04日 20時24分)
【ブリュッセル斎藤義彦】北大西洋条約機構(NATO)は4日、外相会議を開き、シリアからの攻撃に備え、加盟国トルコのシリアとの国境線に地上配備型迎撃ミサイル「パトリオット」(PAC3)を配備することで合意する。PAC3を持つ米独オランダが来年1月中旬をめどに配備する。米国はシリアが化学兵器稼働に着手したとの疑いを強めており、PAC3は「情勢の悪化を防ぐ」(外交筋)狙いがある。
外相会議は4日、先月19日のトルコからの要請を受け、防空能力増強で合意する。展開作戦を「鋭敏なる防御網」と名付ける。これまで現地調査チームが調べた約10カ所の配備候補地から場所を選定、数週間かけ、装備や兵員を運ぶ。
PAC3は弾道ミサイルだけでなく、航空機も撃墜可能だが、NATOは今回の展開を「純粋な防衛」としシリアに飛行禁止空域を設定する準備、との見方を否定している。
NATOはシリアが化学兵器と射程約300キロの弾道ミサイル・スカッドBを保有していることを脅威とみなし「両者の組み合わせによる攻撃を監視している」(NATO外交筋)状況。NATO高官は「シリアは内戦を国際紛争化しようと狙っている。PAC3配備には攻撃を抑止し、エスカレートを抑える狙いがある」と話す。