『破』が公開されて3年。『序』から5年。
2012年、『Q』
11月17日。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』(以下、『Q』)が公開された。
本作は1995年に放送され社会現象化したアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』(以下『エヴァ』)を監督の庵野秀明自らセルフリメイクした劇場アニメ。06年に第一作となる『ヱヴァンゲリヲン新劇場版序』(以下『序』)が、09年に第二作となる『エヴァンゲリヲン新劇場版破』(以下『破』)が公開され、どちらも高い興業収益を上げており、『Q』も公開10日目にして早くも興業収益30億を突破している。
上映前には、日本テレビの金曜ロードショーで、二週連続で『序』『破』が放送されたこともあってか、『Q』公開初日には各地の劇場に多くの観客が押し寄せた。僕も公開初日に千葉県にあるシネコンで見たのだが、下は小学生から上は50代まで幅広い世代が劇場に集まっていた。
これは『エヴァ』という作品がリアルタイムで見た世代だけでなく、『ヱヴァンゲリオン新劇場版』以降についたファン層も大きな規模になっているということだろう。考えてみれば『破』が公開されて3年。『序』から数えれば5年近く経っている。昨今、過去作のリメイク作は多いが、そういった作品がかつてのファンにしか届かない中、『ヱヴァ』は確実に90年代にリアルタイムで観たファンのみならず、00年代の新しいファン層も捕まえている。
本稿に入る前に簡単に『エヴァ』のあらすじについて説明しよう。
物語の舞台はセカンドインパクトという未曾有の大災害が起きて滅亡寸前の地球。
人類は、襲い来る使徒と呼ばれる謎の巨大生物と戦うために特務機関ネルフを設立。主人公の14歳の少年、碇シンジはネルフが保有する汎用人型決戦兵器エヴァンゲリオン・初号機のパイロットに選ばれ、使徒との戦いに巻き込まれていく。
物語は謎に満ちていて、主人公の碇シンジの悩む姿や、綾波レイや惣流・アスカ・ラングレーといった美少女キャラ。そして監督の庵野秀明率いるガイナックスにより当時最先端のロボットアクションアニメとして高い評価を受け、90年代後半に大ヒット。テレビ版では未消化だった最終25,26話は映画化され、商業作品としては常軌を逸した展開が話題となった。
今回の新劇場版は現在のCG全盛の技術で『エヴァ』のセルフリメイクをおこなうという名目で始まった。物語の流れはおおむね過去作のままなのだが、細かな設定が変わっていたり、逆に前作のラストに登場した赤い海が冒頭から登場したりと、相変わらず細かなフックが散りばめられている。特に第二作となる『破』では新キャラクターの真希波・マリ・イラストリアスが登場し、旧作では消極的だった碇シンジが、自分の意思で戦い、ヒロインの綾波レイを助け出すシーンでは多くのファンにカタルシスを与え、その後は、過去の『エヴァ』とまったく違うものになるのではないかと多くのファンが期待する中、ついに公開されたのが『Q』である。
(トップ/『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』公式サイトより)
以下、ネタバレあり。
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