出世したくない人が増えているのは本当か?

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 最近、若い世代のサラリーマンで出世を希望しない人が増えているという記事をよく見る。
 管理職に昇進しても給料は増えず責任だけが重くなることが多く、昇進しない方が気楽でよいという。
 最近の若い人が云々というのは、いつの時代にも繰り返されてきた話題であり、基本的にあまり信用しない方がよい。昇進を希望しない人が増えているという話はバブル時代や高度成長期にもあった。特に目新しいことではない。

出世できなくてもよいというのは、実は高度成長期の話
 それはともかく、本当に出世しなくないという人はたくさんいるのだろうか?また、出世したくないという希望は実際に受け入れられるのだろうか?答えはイエスでもありノーでもある。

 出世しなくてもよいと考える人の多くは、無意識的に、出世しなくてもそれなりの給料と立場が維持されるということを前提にしている。もし、出世した人は億の年収となり、出世できないと給料は恐ろしく安く、しかもいつクビになるか分からないという環境であれば、ほとんどの人が出世を希望するだろう。
 つまりあまり出世したくないというのは、終身雇用と年齢による昇給が維持されていることが前提なのである。

 今までの日本であれば、これが実現できるケースも少なからずあった。日本経済が右肩上がりで成長し、昇進はしなくても勤続年数で昇給を続けることが可能であった。また事業も拡大を続けていたので、どんな人でも恥ずかしくない程度のポストには昇格させることができた。

同一職種、同一賃金であれば実現可能だが
 だが今の時代はそうはいかない。経済のパイが縮小しているため、分け与えるポストは少なくなる一方である。会社としては管理職でない人に高い給料を払いたくはない。出世しないヒラのベテランよりも給料が安い新人を活用した方がよいということになり、年齢が高い社員の居場所は少なくなってくる。この傾向は今後も続く可能性が高い。

 そうなってくると、出世したくないというスタンスの社員が存在し続けることは難しいだろう。

 この問題を解決する唯一方法は、諸外国がやっているような同一職種、同一賃金の導入である。これは、同じ仕事であれば、年齢に関係なく同じ賃金しか支払わないというもの。

 例えば、ヒラの営業職であれば20代の若者も50代のベテランも同じ給与をもらう。営業チームを管理する営業チーフになれば、給料は上がる。ただしチーフに昇格するのは優秀な成績を上げた人であり、25歳の若者かもしれないし、50代のオジサンかもしれない。

 こうなると社内の競争は、全体的な出世競争ではなく、同一職種の中での争いとなる。同期で誰が出世するのかではなく、営業チームの中で誰が実績を上げるかが重要となる。競争相手は、年齢が大きく離れた社員かもしれないし、同世代かもしれない。

ガラパゴス化した日本では導入は困難
 同一職種、同一賃金の場合には、社員が持つ専門性が評価される。高い専門性を身につけ、常に高い実績を上げられるだけの実力があれば、出世することなく、好きな職種で、相応の給料をもらえるという働き方も可能となるかもしれない。

 現在のところ、このような雇用体系に完全に移行できている日本の会社はほとんどない。多くが従来型の一括採用、年功序列型である。

 同一職種、同一賃金を導入するということは、年功序列と終身雇用という既得権益を廃止するのと同じことである。労働組合などの圧力が強い日本ではおそらく実現不可能であろう。

 また日本市場はガラパゴス化が進んでおり、グローバル化しない会社もかなり出てくる可能性が高い。そうなってしまうと、さらに同一賃金、同一職種の導入は難しくなる。「出世せずに気楽に」という構図は描きにくいのだ。
 もちろんそのようなジャパニーズ企業は原則、終身雇用なので、雇用と最低限の給料は維持されるだろう。だが労働条件は年々厳しくなると思った方がよい。

 これからの時代、日本型の企業において出世を目指さないとうのは、かなり困難な目標となりつつある。

【参考記事】
仕事への情熱は人によって違う
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