ヘッジファンド 日本売りのチャンスをうかがう (2)
この原因により、10年物国債の利回りが0.5ベーシスポイント持ち直した。これまで日本国債の利回りは9年半にわたり低位推移していたが、日本政府は今回の持ち直しに対して懸念を示していない。日本の0.71%という国債利回りは依然として世界最低水準であり、日本国債の人気の高さがうかがえる。
某銀行のアナリストは取材に応じた際に、「日本にとって大きな課題は人口構成であり、短期間内に発生しうる危機ではない。日本の定年退職年齢は65歳に達するが、日本政府はユーロ圏の各国のように、必要が生じた場合にこの年齢をさらに延長することができる」と指摘した。
某信託銀行の固定収益型商品ファンドマネージャーは、「10年物国債の利回りは低水準にあるが、依然として購入者がいる。特に海外投資家は近年、日本国債の保有に積極的になっている。海外投資家の保有する日本国債の規模は現在、全体の8%に達している」と話した。
復旦大学経済学院の孫立堅副院長は取材に応じた際に、「ヘッジファンドが日本国債を空売りすることはほぼ不可能だ。海外投資家による日本国債の保有率が上昇しているが、その90%以上は日本国内の金融機関と日銀によって握られている。これらの機関が日本国債を軽々しく手放すことは絶対にない。また仮に海外投資家が日本国債を投げ売りしたとしても、日本国内の機関がこれを容易に取得するだろう。日本国内の機関投資家が高い安定性を維持しているからこそ、個人投資家・海外投資家がこれに便乗し、日本国債を保有している」と分析した。
上述したアナリストは、「日本の債務残高はすでに1000兆円に近づいているが、日本国内の金融資産は約1400兆円に達する。そのため日本国内の金融機関は、依然として国債を消化する能力を持つ。また日本国債は国有化の比率が高いため、どれほど格下げされたとしても、国内の銀行・保険会社・基金等の機関に対して影響が生じない」と分析を進めた。