ベストイレブンに輝いた(前列左から)鳥栖・豊田陽平、広島・佐藤寿人、柏・レアンドロ、仙台・ウイルソン、(中列左から)G大阪・遠藤保仁、広島・高萩洋次郎、同・青山敏弘、(後列左から)磐田・駒野友一、広島・水本裕貴、名古屋・田中マルクス闘莉王、広島・西川周作
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闘莉王にとっては年中行事に等しいベストイレブン受賞だが、今年はひと味違った。ステージ上ではインタビュアーから得点力の高さを絶賛され、「ディフェンダーです。(FWじゃなく)後ろでいいです」と苦笑い。DF、FWと一人二役をこなした激動のシーズンを象徴する締めくくりとなった。
表彰式が終わると「4人目のFWとして表彰されるのかと思ったよ」とおどけた表情を浮かべた。選手、監督によるベストイレブン投票ではMVPの佐藤に続いて2番目に多い140票を獲得。ポジションは“玉虫色”だったかもしれないが、受賞自体は文句なしだ。
30代に突入しても衰えるどころか円熟の一途。その秘訣(ひけつ)は体調管理への気配りだ。グランパスではストイコビッチ監督の方針で自主練習が禁じられているが、闘莉王は練習後のランニングをほぼ欠かさず続けている。
「一番こわいのはケガ。監督にも理解してもらっている」と闘莉王は話す。今季はJ1では自己最多タイの33試合に出場した。コンスタントな活躍は自己管理のたまものでもある。
「自分なりに今年はやれたという実感があるけど、チームとして優勝できなかった責任は感じている」と闘莉王。仕事をやり遂げた満足感と同時に、7位に終わった悔しさがある。視線は早くも来季へと向く。
ベストイレブンでは歴代最多10度の受賞を誇るG大阪の遠藤が、来季はJ2でプレーする見通し。闘莉王が10年連続の受賞を果たせば歴代最多に浮上する。名実ともにJのトップに名前を残すためにも、闘将の歩みは止まらない。
(木村尚公)
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