12年末・この国を選ぶ:「支援策」誰なら… 原発自主避難者、訴え深刻

毎日新聞 2012年12月04日 東京朝刊

 福島県南相馬市の高橋通(とおる)さん(59)と妻順子さん(56)は昨年7月、購入した放射線測定器の数値に目を疑った。自宅敷地内の空間放射線量は最高で毎時3マイクロシーベルト、雨どいは同20マイクロシーベルト超。現在、国が除染目標としているのは同0・23マイクロシーベルトだ。「もう、安全は自分で守るしかない」

 当時、自宅は原発から20〜30キロの「緊急時避難準備区域」に指定されていたが、住み続けることはできた。しかし夫妻は被災者が無料で住める山形市内のアパートに転居。自宅には高速道で月2回通い、掃除や庭の草むしりに汗を流す。政府は昨年9月、緊急時避難準備区域の指定を解除したが、自宅敷地内の放射線量はほとんど変わっていない。

 東京都内で小学校教諭をしていた高橋さんは10年ほど前、故郷の南相馬に戻り、祖父と父の後を継いでこけし職人になった。海まで車で15分。近くの山で山菜採りが楽しめた。今では遠い昔のことのようだ。

 東京電力が精神的苦痛に対し支払っていた月10万円の賠償金は、避難準備区域の解除から猶予期間の1年間が経過したことで今年8月に打ち切られた。南相馬市は当初、自宅の除染は4月に終わると説明していたが、現在は「来年秋」になった。

 山形市内にある避難者交流支援センターには毎日、福島県の地元紙が届く。高橋さんは衆院選関連の記事をむさぼるように読むが「避難者支援策」はなかなか見つからない。「自主避難者は捨てられたということか」【前田洋平】

    ◇

 復興庁によると、古里から離れて暮らす福島県民は46都道府県に5万8608人(11月1日現在)。福島県によると、うち約半数は自主避難者。投票は不在者投票制度を使って避難先でも可能だが、投票先を決めかねている人は少なくないとみられる。

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