あぶくま抄(12月3日)
とにかくうれしい。サッカーの福島ユナイテッドFCが日本フットボールリーグ(JFL)昇格を決めた。3度目の挑戦でつかむ。選手、監督は「多くの支えがあった」と県民に感謝する。
原発事故後に退団する選手がいた。練習場所は福島市から会津地方や県外に移さざるを得ない。熱心に協力してきた会社がバスを用立て、選手約30人を運んだ。東北、関東など遠方の試合にもかかわらず、応援団が駆け付ける。持参した横断幕を競技場に掲げ、声援を送り続けた。鼓舞に応え、選手の結束力は強まった。
解散の危機にも見舞われた。2年前、資金不足に陥る。県内の経済界が新たな運営会社をつくり、支援団体も善意を募った。苦しい時期を乗り越えて成長を遂げる。今年の全国社会人選手権に準優勝し、天皇杯全日本選手権ではJリーグ勢を倒す。「JFLでも戦える」。関係者は手応え十分だ。
「福島に恩返ししたい」。JFLは試合数が2倍以上に増え、秋田から沖縄まで18チームが各本拠地で戦う。組織力が今まで以上に求められる。イレブンはJリーグの高みを見据える。挑み続ける姿は復興を目指す本県と重なる。だから応援したくなる。
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