研究分野・研究室紹介

森迫・劉研 / 榮岩研 / 川原研 / 伊東・橋本・香山・大谷研 / 斉藤・小林研 / 井澤・アサノ研 / 新村・國宗研 / 和崎研 / カワモト研 / 師玉・山崎・岡崎研 / 海尻・海谷・小形研 / 丸山・宮尾研 / 岡本・山本・白井研

森迫・劉 研究室

http://www.cs.shinshu-u.ac.jp/Lab/MAG/
磁気記録,記憶装置,薄膜工学,電磁気学,コンピュータマグネティクス,ミクロスコピック解析

森迫 教授


安川 特任助教
磁気記録および情報ストレージの研究を行っている. 現在の目標とする記録密度は,一平方インチ当り1012(テラ)ビット以上とされており,当研究室でもそれに対応できる次世代のハードディスクの試作研究を行なっている. メモリに関しては,現在の主流であるRAM などの半導体メモリは,『電荷』を基本としたデバイスであり揮発性である. 一方『磁化スピン』を基本とした磁気ランダムアクセスメモリ(MRAM) は,スピンを基本としており,電源の有無には関係なく不揮発性という特徴を有している. MRAMが実用化されれば,ハードディスクからOS を読み込む必要もなく,瞬時にパソコンが立ち上がるという夢のような記憶素子となり,当研究室でもMRAM に関する基礎研究も行なっている. また,特殊な磁壁構造を用いた,不揮発性,高速磁気メモリやスピントランジスタの基礎研究も行なっている. そして,ナノメートルスケールの微粒子,特にフェライト(鉄の酸化物)微粒子の高性能化と医用応用,特にDDS(ドラッグデリバリーシステム)に関する基礎的な研究も開始する予定である.
研究の成果:左は電子顕微鏡写真,右は磁気力顕微鏡.完全ではないが,白黒のドットが見え1ビット/1ドット記録が可能なことを示す

劉 准教授
劉研究室では,電子の電荷とスピンを制御することによって,より高密度,高速,低消費電力の不揮発性メモリ及び不揮発性ロジック素子の創成を目指します.注力しているのは,電流,電圧によるスピンの方向の直接かつ自由に制御に向かってチャンレンジしています.同研究室では,髪の毛の直径の千分の一以下の厚さを持つ薄膜の作製技術とフォトリソグラフィーを用いたマイクロスケールの微細加工技術を組み合わせて,新規なメモリ素子の形成とその電気伝導特性,磁気特性,微細構造等様々な評価を行っています.
研究室のナノリソグラフィー加工の例.この画像は原子間力顕微鏡のイメージです.1 nm=10億分の1メートル 研究室で作成したスピンメモリ素子

榮岩 研究室

http://www.cs.shinshu-u.ac.jp/~haeiwa/
ナノデバイス,薄膜工学,磁気工学

榮岩 准教授
現在の情報化社会を支えているのは半導体を中心とする電子の流れ(電流)を制御する電子デバイスです.更なる省エネルギー・高速化の切り札として電子のスピン情報を活用するスピントロニクスデバイスが期待されています.榮岩研究室では,スピントロニクスデバイス材料として,磁気ナノワイヤー或いはドットが絶縁体を介して規則配列したナノ構造体に注目し,その材料開発研究を行っています.規則的なナノ構造を作るために,界面活性剤(石鹸)の自己組織化によって生み出されるハニカム構造の活用も進めています.
ナノ構造を観察するためには走査型透過電子顕微鏡(STEM)等の最先端電子顕微鏡操作が欠かせない 界面活性剤の自己組織化を利用したメソポーラスシリカ薄膜の電子顕微鏡写真.約4nmの細孔がハニカム状に規則的に配列

川原 研究室

http://www.cs.shinshu-u.ac.jp/~kawahara/
地球・惑星大気の光学リモートセンシング(システム開発,観測)

川原 准教授
川原研究室では,レーザー光を用いて大気を観測する「ライダー」という観測の技術開発と,観測結果から大気物理の解明を研究テーマとしています.日本における南極や北極に設置する極域大気観測ライダーの開発に長年関わっています.観測は地球そのものをより良く知るための観測で,国際協力体制で行っています.極域では磁力線に沿って宇宙から荷電粒子が降り込み,高度100Km近辺の超高層大気に達してオーロラが光ります.このような宇宙からのエネルギー流入により,地球大気はどのような変動をするのか.それを研究しています.
ノルウェーに設置した高出力ナトリウムライダー用レーザーの一部.レーザ波長の超精密制御を行う 夜空に向けて射出される黄色のレーザー.オーロラ活動時の大気温度の空間変動を調べるため,5方向に射出

伊東・橋本・香山・大谷 研究室

http://hci.cs.shinshu-u.ac.jp/
音響情報工学,生体情報工学,福祉情報工学,学習支援工学

伊東 教授
健常者が何気なく行っている作業や他者との意思疎通も,コミュニケーションに必要な身体機能が損なわれている肢体不自由者や視覚障碍者等にとっては大変な苦労を伴うものです.こういった不便は障碍者の生活の質を著しく低下させる要因です.しかし,脳波等の生体情報を直接検出して利用したり,視覚情報を立体的に音が聴こえる聴覚ディスプレイに置き換えて(感覚代行)呈示し,また,コンピュータの入出力インタフェースを工夫することで,障碍者の方々のコミュニケーションが容易になり,情報通信機器を気軽に利用できるようになります.
聴覚刺激により導出された脳波から,ある特定の刺激に対応したP300ERP成分を抽出してBCIシステムを構築する研究を行っている マルチモーダルインターフェースを用いて,視覚障害者が実際のボードゲームをする感覚を実現したネットワークボードゲームシステム

橋本 准教授
橋本研究室では,身体の様々な情報を取り出し,医療やコミュニケーションに利用することに取り組んでいます.通常の機器ではコミュニケーションをとりにくい障がい者の支援方法にも取り組んでおり,最近では視線を利用した入力装置や視覚や聴覚による刺激に対応する脳波を解析した入力手法を研究しています.医療に役立つ分野の計測として,加速度センサによる身体のバランス評価やいびき音の解析など,体にまつわる広い分野を手掛けています.
視線検出を利用したソフトウェアキーボードの研究.ディスプレイ下部のUSBカメラで利用者の眼の動きを検出している 脳波を利用したインタフェスのシステム構成図特定の刺激を意識したことを,脳波から察しようとする試み

香山 准教授
香山研究室では,人工知能技術を応用した学習支援工学に関して研究しています.ヒトが有する知識の中で,特に身体知:巧みな動作・行為を可能にしている能力に着目し,芸術(歌唱や美術)やスポーツの練習を対象としたスキル学習支援環境の構築,アルゴリズム的思考法やモデリング/抽象化能力育成環境の整備,情報科学の原理を学ぶためのハンズオンでタンジブルな教材の開発などに取り組んでいます.また,音響情報・生体情報に対するデータマイニング手法・最適化アルゴリズムの開発など,ヒトが発する多様な行為・信号に対する知的な処理の実現も目指しています.
デジタル・ドローイング(デジタルペンを用いたドローイング)を自動解析し,アドバイスを生成[美術専門学校との連携研究] スプーンを叩いて飛行船をコントロール.Magical Spoonsは,情報通信の原理や仕組みを理解するための教材.全国で約10,000人が利用

大谷 准教授
人の聴覚は,単に音を聞くだけではなく,音に含まれる情報から音源そのもの,そしてその人の周囲の空間の情報を得ています.目を閉じていても,我々が対話相手がいる方向や車が近づいてくる方向を認識することができるのはこのためです.音に含まれるこのような空間的情報を正確に再現することで,あたかも自分が違う場所にいるかのような真の臨場感を伴った音再生技術や情報通信ネットワークを介して相手の実在感をも伝える次世代のコミュニケーション技術を実現できます.他にも,視覚障碍者に音で様々な情報を伝える等,様々な技術に活用することができます.
耳介近傍の音圧分布を数値シミュレーションで算出.人の耳や頭部の形状が音波に与える影響を予測した 無響室(音が響かない部屋)内に設置された音場制御用スピーカアレイシステム.後ろに見える楔の中には吸音材が詰まっている

斉藤・小林 研究室

http://kankyou.cs.shinshu-u.ac.jp/marukan/
情報センシング,光情報技術,コンピュータ応用システム

斉藤 教授
安全で安心な生活が保障されるには,どのような情報が必要でしょうか?私達は,身近な生活に係る自然環境を注意深く見つめ,その情報をきちんと知らせる技術-センシング技術-の開発を行っています.空気・水・植物等,私達の生活周辺環境が今どうなっているのかを,正しく理解することが,安全・安心を確保する第一歩です.それを実現するキーワードが“光”“画像”“IT”です.レーザーや特殊カメラといった,最新の光・画像機器を駆使した,オリジナルなセンシングシステムを開発しています.環境や農業といった,信州を基盤とした産業への応用展開も目指します.
生活・自然環境情報センシングシステム・LIFSライダー;空中スギ花粉,粉塵,諏訪湖水質,植物生育の遠隔センシングに使用中 農業環境情報センシングネットワーク・アグリサーバ-;農生産情報をネットワーク経由でモニタリングし公開(農ライブ)している

小林 助教
小林研究室では,人間とエージェントとのインタラクションに関する研究に取り組んでいます.ここで言うエージェントとは自律的な振る舞いをする機械を指します.また,インタラクションとは人間とエージェントとの間でやりとりされる情報とその処理過程を指します.機械が一方的に作業を行うのではなく,人間とのインタラクションを通して,人間が得意なことは人間に任せ,機械が得意なことは機械に任せるといったように,互いに協調的に振る舞って問題解決を行うことを目指します.そのようなインタラクションができる「間」をデザインする研究に取り組んでいます.
機能に気づかせるリモコンエージェント「Rebo」 Peripheral Cognition Technologyに基づく姿勢を変化させて着信通知する人間を邪魔しない情報端末

井澤・アサノ 研究室

http://www-comm.cs.shinshu-u.ac.jp/index-ia.html
画像通信,符号化方式,変復調理論,通信工学,符号理論

井澤 准教授
井澤研究室では,回路情報を書き替えることができるFPGAというLSIを用いた『リコンフィギュラブル・システム』について研究しています.近年のディジタル機器の寿命は短く,早いものでは数年の間に不燃ゴミと化してしまいます.回路情報を書き替えることができるFPGAを用い,ネットワーク等を介して最新の回路にアップデートすれば,『LSIのリサイクル』も夢ではありません.FPGAの潜在能力は高く,利用するアプリケーションに応じて回路情報を更新することにより,高性能CPUにも匹敵する処理を,より少ない消費電力で実現することも可能です.
言語障がい者の会話を支援するウェアラブルな会話エイドシステムの試作機(指先の動きでカーソルを移動し,音声を出力する) 自動車の運転席など狭い空間でも利用可能な簡易型モションキャプチャ・システムの外観(ドライバーの動作をリアルタイムに解析する)

アサノ 准教授
アサノ研究室では,幅広い範囲で情報機器の研究開発を行っています.『役に立つ』『使いやすい』を基本方針にし,人間の仕事や生活が『楽になる』『楽しくなる』機器を目指しています.例えば,右図上の『免トレ君』は,運転免許の学科試験問題をわかりやすくするために動画を付けたものです.正解・不正解の判定も動画を使い,試験勉強をゲーム感覚でできるようにしています.また,右図下の『在室表示器』はインターネット経由でも確認できるので,部屋まで行かなくても在室しているかどうがわかります.これにより,行き違いが避けられます.
運転免許学科試験用の練習器「免トレ君」.問題には動画が付いているので理解が深まる タッチパネルを利用した「在室表示機器」.戻る時間が設定でき,インターネット経由でも確認できる

新村・國宗 研究室

http://security.cs.shinshu-u.ac.jp/Contents/
教育工学,ICT活用教育,教育・学習支援,学習環境,システム開発

新村 准教授
蛇口をひねると水が出たり,スイッチを入れると灯りがついたりするのは,あたりまえのようですが,社会生活を行う上では必要不可欠なものです.このようなサービスは社会基盤(インフラ)と呼ばれています.いまや,インターネットにつないでいろいろなサービスをうけることも,社会生活を行う上で必用不可欠なものになりつつあります.私たちの研究室は,主に教育分野において,数千人を対象をするネットワークサービスを実際に提供することで,IT社会で必須となるインフラシステムの構築と運用に関する研究を進めています.
サービスを提供するために,サーバの設置,電源・ネットワーク配線,インストールなど,システム構築を一から行う 教育用ネットワークサービスの開発.学生が自分の目線で,自分にとって使いやすいシステムを開発している

國宗 助教
当研究室ではICT(情報通信技術)を活用して,教育および学習を支援するためのシステムに関する研究を主に行っています. 現在,教育・学習におけるICTの活用は,大学や高校,小中学校などの教育機関だけではなく,企業などでの組織内人材育成や,生涯学習など様々なところで実践されています.その活用のされ方についても,遠隔学習や授業・研修時間外の学習支援,授業・研修などの運営支援,スキル獲得の支援,学習をサポートするチュータやメンタなどのスタッフの支援,授業・研修などの質を向上するためのFD(Faculty Development; 授業改善)の支援など,多岐に渡っています. 私たちは,これらの多様な教育・学習環境において有用なシステムを開発・構築することを研究の目的としています.また,コンピュータネットワークとそのセキュリティに関する研究や,組込システム開発に関する研究なども行っています.さらに,これらの研究で得られた技術や知見を教育・学習支援システムに対して適用したシステム開発や研究も行っています.

和崎 研究室

http://ysserve.wakasato.jp/~wasaki/research/
並列システムモデル,ペトリネット,上流設計,ハードウェアコンパイラ,形式検証系,モデル検査

和崎 教授
情報システムの「信頼性(Dependability)」に関して,ネットワークのQoS・暗号化通信に代表される「安全性(Safety)」とともに,システムの堅牢性(Reliability)を確保することが大変重要です.高い信頼性が要求される情報システムのために,可能な限り誤り(バグ)を排除した設計に仕上げていくことが重要な課題です.私たちの研究室では,「100%バグフリー設計」を目指し,ソフトウェア分野で(1)特に並列システムを対象とした,設計の全網羅的な検査システムと検証ツールの開発と(2)上流工程からの一貫設計検証環境,などを研究しています.
→研究テーマもっと詳しく!
研究テーマもっと詳しく! 研究テーマもっと詳しく!
HiPSツール:階層型ペトリネットを設計・解析・シミュレーション実行する統合環境 http://sourceforge.net/projects/hips-tools/ SPINモデル検査ツール統合環境iSPINによる検証とランダムウォーク・シミュレーション実行の様子(通信プロトコル設計の検証中)

カワモト 研究室

http://sakura.cs.shinshu-u.ac.jp/
Design automation and formalization, E-learning, Professional communication skill development

カワモト 准教授
Kawamoto supports research areas that include topics of design automation and formalization, e-learning, and professional communication skill development for students. The research work in the Kiso Lab. features a variety of applications that tie together software, hardware, and network elements and we are active in investigating the design and development challenges of such cyberphysical systems.

師玉・山崎・岡崎 研究室

http://www.sw-lab.com/xoops/
非線形系の解析,形式検証系,暗号理論,遠隔教育

師玉 教授

数学以外への形式化数学の応用例

師玉は,形式検証系「Mizar プルーフチェッキングシステム」プロジェクトについて数学証明の形式検証系の老舗である「Mizar プルーフチェッキングシステム」プロジェクトについて国際共同研究に関わっている. 形式検証系は,今後益々,大規模化・複雑化する情報システムの上位検証ツールとして,その位置と需要が高まっていくことが期待されている. また,国際的な規格基準として,自動車・製造業のシステム構築における責任に応えるために,ISO/IEC61508 では,機能安全と形式手法によって安全レベルを区分けしている.このように,機能安全規格「IEC61508」で求められる安全性の基本概念と,推奨技術である形式手法の種々な技法を駆使できる高度ICT 技術開発者/研究者が,産業界でも求められてきている. 我々は,数学基礎論の形式化記述,ディジタル回路や並列処理の抽象モデルといったComputer Science 分野に関わるライブラリ構築で中心的な役割を担っており,また,これに興味を持つ博士課程学生の研究指導も行っている.

山崎 助教

画像からの情報の取り出し

山崎研究室では,コンピュータで人間が行うような画像の判定や解析を行うことを研究しています.応用の一つとして,ハードディスクなどコンピュータデバイス製造過程での傷検出・認識処理の研究を行なっています.現在は人間のほうが正確に判断できるので,製造過程の多くの段階で人間が関わっています.人手・視認によらない品質管理,不良検出の自動化,ロボットによる部品の組み立てなど,物作り日本の産業基盤の根底,底力を支える広汎な技術です.同研究室では,それの数学的な手法を研究しています.デジタル画像処理を扱うための数学としては集合論,格子理論,位相幾何学,確率論などを基礎にした幾何的構造の解析や処理を行う数学数理形態学という分野の研究になります.

岡崎 助教
岡崎研究室では暗号の研究をおこなっています.暗号はICT社会をささえるインフラの要素として重要となっています.しかし,暗号は情報理論,計算理論,あるいは数学など情報工学のさまざまな技術分野の上に成り立つ総合的な学問分野であるため,専門家以外には理解しがたい世界になっています.これからの暗号は「安全であることを誰もが納得して使える」ことを目指さないといけません.同研究室では,数理的技法を用いてコンピュータを使って暗号システムの安全性を証明するための仕組み作りを進めています.
既に身近なところで使われている暗号みなさんも知らないうちに使っていませんか?

海尻・海谷・小形 研究室

http://softeng-www.cs.shinshu-u.ac.jp/
プログラム言語論,コンパイラ,ソフトウェア工学,教育工学

海尻 教授
海尻研究室ではソフトウェア開発をサポートする技術の開発を行っています.ソフトウェアの普及,大規模化に伴い,ソフトウェア開発の種々の側面を計算機によってサポートする必要が高まっています.ソフトウェアは何を作りたいかという要求文書に始まり,どのように作るかという設計文書,そしてプログラムなどからなっていますが,これらが相互に関連付けられていることが保守(機能追加,修正)においては極めて重要です.また,ソフトウェアを定量的に測定し,種々の性質を予測する事も信頼性や見積もりのために重要です.この関連付けの手法や定量化の手法について,企業とも連携して研究を行っています.
ソフトウェア開発はプログラムだけでは多くのドキュメントを作る.それらを定量化し,現状を定量的に推測する 要求文書,設計文書,プログラム等の間の関係を明確にすることにより,開発,保守効率の向上を図る

海谷 准教授
海谷研究室では,要求分析の研究をしています.ソフトウェア開発は要求分析,仕様書作成,設計,実装,テスト,保守といった工程を辿りますが,最上流工程である要求分析,要求仕様書作成の段階で漏れや誤りなどがあると,後工程に甚大な影響を及ぼしてしまいます.もしくはシステムの完成後に,「こんな使い勝手の悪いシステムは使えない」といったことになりかねず,開発を一からやり直すといった最悪の事態も招きかねません.そのため,要求仕様書作成の段階でできる限り厳密かつ正確に要求を定義しておく必要なのです.
学生が開発したソフトウェアの要求仕様書を解析するツールの画面例 前述のツールを外国人研究者に説明する開発した学生(ハワイの国際会議にて)

小形 助教
良いソフトウェアを効率的に開発する方法を研究しています.建築では最初に模型と言った「概略」を作り,その良し悪しをお客さんに確認してもらいます.お客さんの欲しないモノには多量の手直しが生じ,膨大な費用と時間がかかるため,この確認は非常に重要です.ソフトウェア開発においても「概略」を右図上の「モデル」として記述することが普及してきましたが,モデルの有益な活用方法の研究は未だ不十分です.小形先生は「使い勝手の良い」ソフトウェアの開発を促進するためのモデリング方法やソフトウェアへの変換方法に関する研究を行っています.
Unified Modeling Languageと呼ばれる言語を使って記述したモデルからソフトウェアを自動生成するツールを研究開発している

丸山・宮尾 研究室

http://schubert.cs.shinshu-u.ac.jp/index.html
機械学習,コンピュータビジョン, コンピュータグラフィックス, ヒューマンコンピュータインタラクション,音楽情報処理

丸山 教授
丸山研究室では,宮尾研究室と共同で研究室を運営し,画像理解・認識・検索,3次元復元,コンピュータグラフィックスなどを中心と した研究を行っています.我々人間は,目に映った画像から,どのような色,形状,特徴を持つ物が存在しているのかを理解する高度で柔軟な能力を有しています.また,このような能力は日々の経験の中で学習によって培われてきたものであると考えられます.当研究室では,人間の持つこのような学習・認識能力をコンピュータ上で,コンピュータの特長を生かして大量のデータを対象として,実現するための手法に関する研究を行っています.
リアルなCGを高速に作成するための研究や,モーションキャプチャデータから強化学習と呼ばれる手法でアニメーションを作成する手法の研究なども行っている 国際学会で発表し,論文賞を受賞する学生も.上図は表彰式の様子と研究内容(確率的トピックモデルを用いた文書画像認識)(DAS2009)

宮尾 准教授
タブレットPCやスマートフォンなどで使われているペン入力やタッチ入力の情報を活用した研究を中心に行っています.例えば,ペンで手書き入力された文字・記号・図形をコンピュータで逐次に認識・整形したり,以前に入力した情報を検索する手法について研究しています.また,タッチ入力された情報を用いた研究では,そのジェスチャ(タッチした複数の指の動き)の登録・認識を行ったり,それらの技術を用いたプログラム開発を行なったりしています.なお,当研究室は丸山研究室と合同で研究活動を行っていますので,興味のある方はそちらもご覧ください.
ペンで手書き入力されたフローチャート(流れ図)や楽譜をコンピュータが逐次自動認識後,整形・出力するシステム スマートフォン上でのタッチ入力を用いた類似画像検索システム.緑矢印の方向にタッチすると,画像群がらせん状に回転する

岡本・山本・白井 研究室

http://syorserv.cs.shinshu-u.ac.jp/
静止画・動画像処理,パターン認識,多次元信号処理,計算量の理論,アルゴリズム論

岡本 教授
岡本研究室では画像処理,パターン認識と呼ばれる分野の研究を行なっています.言わばコンピュータの目と頭脳に相当する処理です.人間は赤ちゃんの時からいろんなものを見て,それが何であるか自然と理解できるようになります.文字も小学校に上がれば誰でも読めるようになります.しかしながらコンピュータでこのことをさせるのは至難の業です.近年はディジタルカメラも普及して簡単に画像をコンピュータに取り込めますが,そこに写っているものを解析して理解するための研究を行なっています.
情景画像 情景画像中の文字部分のみを抽出

山本 教授
山本研究室では,より安全で効率的な検索を行うための基本技術の開発を行っています.社会の情報化が進むにつれ,大量のデータが電子化され,コンピュータに保存されるようになってきています.このような大量のデータから目的のデータを探すためには,効率的な検索技術が必要です.また最近では,個人情報など他人に知られたくない情報を扱うことが多くなってきているため,このような情報を保護しながら検索する技術も重要になってきています.研究室では,効率的な検索を行うための技術,安全性に配慮した検索を行うための技術に関する研究を行っています.
並列マシン:今後,ソフトウエアの効率化において重要な役割をなす.計算を行うための多数の装置を持ち,分担して計算を行う 安全な検索システム:鍵をもつ正規利用者だけが,暗号化されたデータサーバにアクセスし,データを検索することができる

白井 助教

色ムラを抑えつつノイズ除去.画像空間(2D)の連続性に加え,RGB色空間(3D)の色分布の連続性を考慮している

多次元信号処理(画像/3D)が研究対象です. 従来画像処理においては各色ごとにフィルタ処理などが行われるのが一般的でしたが,近年では色の連続性を考慮してノイズを抑えたり領域分割を行う研究が行われており,画像空間での2次元の連続性に加え,色空間内での3次元の連続性を同時に満たすことが求められています. また,画像を画素単位で処理を行う単純時系列信号処理に代わり,領域単位で領域の色や模様といった特徴を考えたり,複雑に隣接した近傍領域との連続性を考える必要性がでてきています. 上述の問題を解決するため,古典的手法に加え,確率的,物理的な新たな処理法を試みています.→詳しくはこちら