障害者施設で教師が女性7人に性的暴行、被害者が証言

 「体調が悪いのに、たびたび脅して無理強いした」

 全羅北道全州市の障害者福祉施設で生活していた、知的障害がある30-40代の女性7人は、性的暴行を受けた事実について、はっきりと伝えることができなかった。いわゆる「るつぼ事件」(光州市の聴覚障害者向け特殊学校「インファ学校」で発生した、教職員による児童・生徒に対する性的暴行事件)で世論が沸騰していた昨年10月、この福祉施設で生活していた女性は「(被害に遭った事実を)口外するなと言われた」と証言し、また別の女性は「(今でも)怖い夢を見る」と話した。性的暴行を加えたとして名指しされたのは、1992年から2001年まで、この施設で勤務していた教師だった。

 女性7人は今年8月から、全州性的暴行被害相談所によるカウンセリングや警察の事情聴取を受けている。7人のうちほとんどは知能が5歳児以下と同程度で、元教師の行為が犯罪だということも知らなかった。全州性的暴行被害相談所のファン・ジヨン所長は「子どものころから施設で生活し、外の世界を知らない女性たちにとって、性的暴行はただ恥ずかしく、口にできないことだった」と語った。

 警察や性的暴行被害相談所が女性たちに対する捜査・調査に乗り出したのは、この施設の社会福祉士が元教師を告発したのを受けてのことだ。社会福祉士は昨年「るつぼ事件」を受け、施設内の人権に関する実態調査が行われた後、女性たちから元教師について一貫した証言を得た。

 警察と性的暴行被害相談所は、元教師が告発された後、女性たちを別の施設などに移らせたが、カウンセリングや捜査・調査は遅々として進まなかった。女性たちが捜査班に対し親近感を持ち、信頼するようになるまで2-3週間かかった。10-20代の記憶を呼び覚まし、被害を受けた時期や場所などについて具体的に証言を得るのも困難を極めた。

 これまで行われた女性6人に対する1次調査で、女性たちは施設内の講堂や倉庫、教室などで、繰り返しわいせつ行為や強姦(ごうかん)の被害に遭っていたことが分かった。警察は残る被害者1人に対する調査を終えた後、元教師に対し出頭を求める方針だ。

 全国66の障害者・女性・人権団体などは3日、全羅北道庁で記者会見を行い、この事件について徹底的な捜査を行うよう求めた。「国際障害者デー」に合わせ、この事件についての対策委員会を発足させたこれらの団体は、問題の施設を運営する福祉財団に対し行政処分を下すとともに、性的暴行の被害者たちに対する支援を制度化するよう提言した。

 施設を運営する福祉財団の理事長と親戚関係にある元教師は40代で、高校時代から被害者の女性たちと同じ学校で生活し「お兄さん」「先生」などと呼ばれていた。元教師は2002年から09年まで海外に留学した後、同じ財団が運営する別の施設の所長を務めたが、性的暴行事件が発覚し、今年1月に退職した。

 警察は「性的暴行の公訴時効は10年のため、元教師が帰国後、別の施設の所長を務めていた間にも性的暴行を加えていたか否かについて調査するとともに、ほかに加害者がいたかどうかについても調べを進めている」と話した。

全州= 金昌坤(キム・チャンゴン)記者
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