小田原動物園の整理進む
順次動物舎を撤去、2月中旬には水鳥舎も
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2007年1月27日号
小田原城址公園内の小田原動物園で、施設廃止に向けた整理が進んでいる。昨年1月の熊舎、鳥舎に続き、1月12日にはウサギ、キジ、ヤギなどの小動物舎が撤去された。2月中旬には隣接する水鳥舎も撤去される見通し。
同動物園の整理は、平成5年に策定され、江戸時代の雰囲気を甦らせようと整備が進められている『史跡小田原城跡本丸・二の丸整備基本構想』を受けて行われている。同構想では史跡にふさわしくない施設を整理していくという方針が打ち出されたため、同動物園は「小田原城本丸広場環境整備事業」により、動物舎の撤去を余儀なくされた。
現在のところ代替施設を建設する計画はなく、飼育している動物は関東近郊の他の動物園に引き取ってもらう予定。動物舎は動物の移転先が決定、受け入れ体制が整い次第、順次撤去される。
「高齢」が大きな壁
動物の移転先探しに苦慮 市は動物舎の撤去を進めていくため、(社)日本動物園水族館協会など関係機関を通じて、動物の移転先探しに動いている。しかし同動物園の動物は総じて飼育年数が長い「高齢動物」のため、「繁殖用動物」の受け入れを求める他動物園の要望と相容れない状況があるという。
そのため動物の移転先確保は目途が立たず、来年度以降の具体的なスケジュールは決まらぬまま。この現状に同動物園を管轄する市観光課は頭を悩ます。「動物は命あるもの。物のように簡単に右から左へ移すというわけにはいかない」と動物舎の撤去に関しては動物の生命に配慮して、あくまで慎重に進めていく構えだ。
なお今回撤去された動物舎の跡地はロープで囲いがなされ、後に芝生が植えられることになっている。また今後撤去される動物舎の跡地は砂利を敷いてベンチを置くなど、憩いのスペースとして利用される予定。
同動物園は小田原子ども博覧会の開催をきっかけに昭和25年に開園。長い間市民や観光客に親しまれてきた。新たな“飼い主”の決定が待ち望まれるが、それは半世紀以上の歴史に終止符を打つことにもなる。