Takahashi's Web -Lecture-
実験公開中
エロゲシナリオ講座
エロゲのシナリオを書くときのポイントの覚書です。
以下の事をお断りしておきます。
- このコンテンツは、自分用の覚書です。人に教えるためのものではないので、偉そうにしているつもりはないので、どうかご了承を。
- 内容の正しさを保証しません(出来ません)、あくまで僕が経験上思っているということです。
- このコンテンツの内容はADVタイプで音声付きのエロゲのシナリオに特化しています。エロゲシナリオと小説は全然違うものです。同じつもりで書いているといろいろ落とし穴が。
- 今は気づいたことを列挙しているだけですが、いずれ増やしていきます。そのうち綺麗にまとめてもっとちゃんとしたコンテンツにするかも。
【ワンポイントアドバイス】
- 絵で分かることは省略しよう
- テキストだけで読んでいるとつい色々書き込みたくなるのですが、絵を見れば説明が済んでしまうようなら書かなくてもいいことも多いのです。
特に、服装や付近の状況など後で絵をハメたときに矛盾が出そうな描写は、必要でなければ避けたほうがいいです。
- 絵のないシーンを避けよう
- ハメる絵のないシーンを書くのは避けましょう。立ち絵も背景も一枚絵もないなら、真っ暗にするしかありませんので。
- 一文を短く、行頭に重要な情報を集めること
- プレイヤーは、かちかちと一定のリズムでマウスクリックしながら、常にウィンドウの左上、文章の行頭あたりを見ています。文の後ろのほうにあまり重要なこと(状況の大きな変化など)を書いてしまうと、読み落としの恐れがあります。
- 体言止めの多用を避けること
- 体言止めは便利なのですが、連続すると文章がぶつ切りっぽくなります。効果的に使うならばいいですが、度を越すと鼻につきます。本当に意味があるところ以外ではなるべく使わないように。
- 台詞内の「……」や「、」の意味に注意
- 声優さんは、「……」や「、」を間を取るときの参考にします。発音上不自然にならないようにしたほうがいいでしょう。普通「……」は多用しないほうがいいといわれていますが、声優さんへの指定としては必要なことがあります。
- フェラやキスの擬音は台詞に書こう
- 僕は、「んちゅ、むちゅ……」とか「ちゅぱっ……ふむっ、れろれろ……」とかを台詞に書いてしまうことにしています。
台本の場合、ちゃんと書いておかないと声優さんが演技出来ないからです。
小説としてはそういう表現はあまりかっこよくないのですが、気になる人は、台本は擬音を書いたバージョンで送って収録してもらい、後でそれを訂正していけばいいのではないでしょうか。僕はそこまでやったことはありませんが。
- 台詞だけで分からないところはコメントで演技を指定する
- ここはこういう感じで読んで欲しい、というときは、コメントで演技指定を書くといいでしょう。
- 台詞は読みやすくする、長台詞や複雑な構文は避ける。
- ライターが読みにくい文章は声優さんも読みにくいのです。全て声が入ることを意識して、口語として不自然じゃない台詞にしましょう。
複文でしゃべる人はめったにいませんので(文学少女とか理系少女とか、フツーのしゃべり方をしない子、という設定ならそういうのもありでしょうけど)、なるたけ単文に分解したほうがいいです。
- 台詞を二つに割らない、地の文に台詞を混ぜない
- 台詞の途中にクリック待ちをはさむと間がコントロールできませんので、特にそうしたい意味があるという場合以外は、ひとつの台詞は一行一クリックで完結させるべきです。また、地の文中に、●●は××と言った、などのように発言を混ぜる書き方は、ボイスがそこに入れにくくなるのでするべきではないでしょう。
- 喘ぎ声で手を抜かない
- 上の項目と関連することですが、喘ぎ声も、書いた台詞の通りに演技されますので、適当にコピペとかして同じ物が連続すると単調になります。気分を込めて書き下ろし、盛り上がりや抑えを表現しましょう。
- 読点は少なめに打とう
- 時代小説とかを読んでると、やたらめったら読点を文節ごとに打っているのがあります。時代小説のお約束なんでしょうけれど、あれは読みにくいので、ゲームシナリオではやらないようにしましょう。
読点は、打たないと意味が分かりにくくなるようなところにだけ限定的に打てば十分です。
- リズムを気にして文章を書こう−1 台詞と地の文の配分
-
プレイヤーのクリック間隔はだいたい同じと考えると、一定クリックごとにボイスが入るのが望ましいです(特にHシーンの場合)。
そこで僕の場合、Hシーンにおいては、「ヒロイン台詞→地の文→主人公台詞→地の文……」みたいに、交互に地の文と台詞が反復するように文章を書いています。
こういうルールを決めてしまえば、例えば台詞だけ先に書いて後で地の文を埋めていくとか、その逆とか、色々器用な書き方が出来るようになります。スピードも上がります。
もちろん、必要なら破ることもあります。自縄自縛になる必要はないです。
(追記)
通常シーンにおいては、もっと台詞主体でもいけます。地の文は必要最低限にして、使うときでも台詞の間に混ぜてしまうよりは何行かごとにまとめてブロックを作るほうが読みやすい気がしています。
アニメ化漫画化するときなんかに、台詞と渾然一体になってると地の文・モノローグの処理が大変です。ブロックを作って切り分けられるようにするとその辺の作業を軽減する効果が期待できそうです。
- リズムを気にして文章を書こう−2 韻とリズム
-
音が似ている言葉は、リズムを刻みます。いわゆる「韻を踏む」という奴です。
詩や詞を書くときはもちろん、普通の文章を書くときにも、これは重要なポイントです。
たとえば、
走る。月は西天にある。約束の刻限はもう過ぎている。
この場合、「〜る」というのが三つあり、文末でリズムを刻んでいます。
こういうのを気にして書くと、テンポ良く読める文章になります。
音楽的な、やや気取った技法なので、多用すると鼻につくかもしれません。本当に必要なところだけで使いましょう。
関西風の漫才のボケツッコミシーンにも、テンポが重要です。
逆に言うと、語呂あわせになるような音の近い語を使う場合は注意しなければならないということです。
- リズムを気にして文章を書こう−2補足 同じ単語を無意味に繰り返さないこと
-
言葉は書いたほうが意識せずともリズムを刻んでしまうので、読みにくくなる恐れがあります。
同じ言葉、似た音の言葉が短期間に連続して表れるときは注意しましょう。
プレイヤーは文頭に注目します。ボイスも最初のほうだけ聞いてクリックする人が多いですから、先頭部分に同じテキストがあると、変に目立ってしまいます。避けましょう。
(必要な場合でも、例えば二回目三回目にはニュアンスを変えてもらえるように指定しておくべきです)
- リズムを気にして文章を書こう−3 対句表現
- 「●●は〜〜によって■■になる、○○は××によって▲▲になる」のように、文の形式を反復することで、文章の意味は強化され、説得力が増します。こちらは韻を踏むよりも目立たない、読者に意識されにくい技法ですが、それだけに強力で、よく考えると根拠薄弱でも対句表現の効果だけでなんとなく説得されてしまうことが多いのです。嘘をつくためには便利。
- リズムを気にして文章を書こう−4 反復構造
- 単語や文よりも大きな単位でも反復構造を盛り込めます。お笑いにおける「ネタを引っ張る」とか、「繰り返しの効果」。同じ形式のイベントを何度も起こしたり、その規模がだんだん大きくなったり小さくなったり(いい例が「わらしべ長者」ですね)。物語構造を意識しましょう(他には「入れ子構造」「対比構造」とか)。