若手俳優がどのように発掘・育成されているのかを紹介するこの連載。第2回目は、子供向けのテレビドラマである「仮面ライダー」や「スーパー戦隊」の両シリーズが、無名の新人から人気俳優への登竜門となっている昨今の事情を解説する。
2012年9月から始まった最新作「仮面ライダーウィザード」(日曜8時/テレビ朝日系)は「魔法使い」がテーマ (C)2012 石森プロ・テレビ朝日・ADK・東映
これまで多くの人気男性俳優を輩出してきたのが、仮面ライダーシリーズとスーパー戦隊シリーズだ。ともにテレビ朝日系で放送されている二つの人気シリーズは、合わせて「特撮ヒーロー番組」と称されている。
どちらも主役は毎回、オンエアが始まる半年前からオーディションを行い、まだ演技の経験が少ない新人の中から選ばれることが多い。人気俳優の登竜門として定着したことから、最近では男性の俳優を擁する各芸能プロダクションは有望な新人をオーディションに送り込んで、主役獲得を目指している。
特に仮面ライダーシリーズの主演経験者には「仮面ライダークウガ」(2000年)のオダギリジョー、「仮面ライダーアギト」(2001年)の賀集利樹、「仮面ライダーカブト」(2006年)の水嶋ヒロ、「仮面ライダー電王」(2007年)の佐藤健、「仮面ライダーキバ」(2008年)の瀬戸康史らがいる。主演以外を見ても、「仮面ライダー555」(2003年)ではスパイダーオルフェルノクという敵キャラに変身する青年を綾野剛が演じ、「仮面ライダーカブト」(2006年)では仮面ライダーサソード役を山本裕典が演じるなど、スター輩出率が高い。
■狙って起用したイケメン俳優
仮面ライダーに主演することが人気者の登竜門になったのは、たまたまそうなったのではなく、「狙い通りだった」と語るのは、仮面ライダーシリーズとスーパー戦隊シリーズの制作を手がける、東映の専務取締役・鈴木武幸氏だ。
鈴木氏は、少子化もあって一時期、人気にかげりが見えていた仮面ライダーシリーズを10年間休止するという決断をして、親と子どもの二世代に支持されるソフトになるまで熟成を待ったと言う。2000年に平成仮面ライダーとしてシリーズが再開するときには、主人公を演じる俳優についても、従来と考え方を大きく変えた。
「子どもと一緒に番組を見ているお母さんたちは、亭主よりもかっこいいイケメンが出ているのなら、抵抗なく、応援してくれるものです(笑)。だから、以前の仮面ライダーを演じる俳優は、アクションが似合う武闘派のイメージがある、武骨なタイプが多くて、年齢も高めでしたが、平成仮面ライダーでは若いイケメン系の俳優を起用して、若々しいキャラクターにしました。初期の仮面ライダーにあった改造人間という暗く陰のある部分も描くのをやめて、変身した後もナマっぽい生物的なスタイルから時代を引っぱるクールなデザインに変えて、子どもや女性が見やすいライダーにしました」(鈴木氏、以下同)
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