11月26日に当会より各政党宛に発出した、「生活保護制度改革に関する公開質問状」に対し、本日時点で、日本維新の会、日本共産党、民主党、自由民主党、社会民主党(以上、回答順)の5党より、以下のとおりの回答が寄せられました。
※11月26日時点に存在した政党にお送りしていますので、現時点と政党名等が異なることはご了承下さい。
●公開質問状の内容の確認は、こちらをどうぞ。
→総選挙に際して、各政党に「生活保護制度改革に関する公開質問状」を発出しました。
【具体的な質問事項】
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・わが国の貧困率は年々悪化し16%に達しています。このような現状は改善すべきと思いますか。
・わが国の生活保護の「捕捉率」は2~3割で受給漏れが多く、保護率(1.6%)も保護費の対GDP比(0.6%。OECD平均の4分の1)も先進国中特異な低さとなっています。このような現状は改善すべきと思いますか。
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について
3.「現金給付から現物給付へ」について
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
5.「ジェネリック医薬品の使用義【質問事項】務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
7.「ケースワーカーの民間委託」について
【各党からの回答】
★各政党からの回答一覧(画像をクリックしてください)

・日本維新の会 ・
回答書(pdf)
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・貧困率を改善すべきと思うか → 思う
・先進国でも低い捕捉率を改善すべきと思うか → (回答なし)
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について
→ その他「自立支援へ向けた制度に全面的に改めるべき」
3.「現金給付から現物給付へ」について → 賛成
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
→ 賛成
5.「ジェネリック医薬品の使用義務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
→ 賛成
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
→ 賛成
7.「ケースワーカーの民間委託」について → 賛成
・日本共産党 ・
回答書(pdf)
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・貧困率を改善すべきと思うか → 思う
・先進国でも低い捕捉率を改善すべきと思うか → 思う
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。せっかく貧困率や捕捉率が明らかにされたのですから、年次目標をもって解決すべきです。貧困と格差の拡大の大きな原因は、①非正規雇用の拡大や違法なリストラなど雇用破壊、②貧弱な社会保障制度にあります。ここを正していく政策が必要です。消費税増税は貧困と格差を拡大します。社会保障の拡充は、消費税に頼らず、富裕層や大企業などに優遇された税制を応能負担の原則に転換すること、大企業に貯めこまれた260兆円の内部留保を、雇用や賃上げ、中小企業に還流させる経済改革を行うことで可能です。
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について → 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。生活保護基準の引き下げは、生活保護世帯はもとより、賃金や社会保障給付など、国民の暮らし全体に大打撃になります。
3.「現金給付から現物給付へ」について → 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。そもそも、生活保護は権利ですが、受給することを「恥」と思い込んだり、躊躇している人が少なからずいます。このもとで、現物支給を行えば、生活保護を活用している事が世間に知れ、辞退したり、受給を差し控える事が蔓延してしまいます。権利であることを国民が納得し合意できるように、行政は責任を持つべきです。
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
→ 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。具体的な稼働能力や生活環境、就労の場の有無などを度外視した就労支援ではなく、その人に合ったサポートが必要です。有期保護は、保護が必要な人を締め出すことになり、憲法に抵触します。
5.「ジェネリック医薬品の使用義務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
→ 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。ジェネリック医薬品の義務付けは、保護世帯の医療の選択権を奪います。医療費の一部負担が導入されれば、その分最低限の生活費を削ることになります。これらは、生活保護世帯に必要な医療を受けさせず、病状が悪化すれば、返って医療費が増大します。
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
→ 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。「証明の義務化」は、保護が必要な人に萎縮効果を与えます。さらに、扶養を保護の要件にすることにもつながります。これは、現行の生活保護法の成り立ちを無視したものであり、戦前の救貧制度に逆戻りすることになってしまいます。
7.「ケースワーカーの民間委託」について → 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。いま必要なのは、ケースワーカーの専門性を強化するとともに大幅に増やすことです。ケースワーカーの人件費は、全額国が責任を持つべきです。
・民主党 ・
回答書(pdf)
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・貧困率を改善すべきと思うか → 思う
・先進国でも低い捕捉率を改善すべきと思うか → 思う
〈民主党の意見〉「生活支援戦略」により、生活困窮者に対する生活支援を充実する。第2のセーフティネットである求職者支援制度の活用、ハローワークや自治体の様々な相談機能の縦割りの解消、NPOなどとの連携などにより、社会復帰、早期就労など自立のための再チャレンジを支援する。
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について → その他
〈民主党の意見〉真に支援が必要な人に適切な生活保護の認定を行う。現在、社会保障審議会生活保護基準部会にて検討中。
3.「現金給付から現物給付へ」について → その他「検討中」
〈民主党の意見〉厚生労働省社会保険審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の議論と平行して検討中。
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
→ その他「検討中」
〈民主党の意見〉上記3に同じ。
5.「ジェネリック医薬品の使用義務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
→ その他「検討中」
〈民主党の意見〉医療扶助について電子レセプト点検の強化や、後発医薬品使用の促進などの改善をすすめる。
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
→ その他「検討中」
〈民主党の意見〉上記3に同じ。
7.「ケースワーカーの民間委託」について → その他「検討中」
〈民主党の意見〉上記3に同じ。
・自由民主党 ・
回答書(pdf)
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・貧困率を改善すべきと思うか → 思う
・先進国でも低い捕捉率を改善すべきと思うか → その他
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について
→ その他
3.「現金給付から現物給付へ」について → その他
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
→ 賛成
5.「ジェネリック医薬品の使用義務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
→ 賛成
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
→ 賛成
7.「ケースワーカーの民間委託」について → 賛成
・社会民主党 ・
回答書(pdf)
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・貧困率を改善すべきと思うか → 思う
・先進国でも低い捕捉率を改善すべきと思うか → 思う
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
生活保護制度に関連するバッシング報道が過熱するなか、民主・自民・公明三党の確認文書に基づく「社会保障制度改革推進法」の附則に「生活保護制度の見直し」が挿入され、不正受給者への厳格な対処や生活扶助・医療扶助等の給付水準の引き下げが行われようとしています。
生活保護利用者数の増加は、財政負担や不正利用事案の増加とともに報じられ、負のイメージをもって語られることが多いですが、利用者数の増加と財政負担を理由に制度が縮小されるようなことがあってはなりません。我が国における利用者数や総人口比での利用率は、先進諸外国に比べると未だに著しく低いレベルにとどまっています。600万~850万人の人が「漏給」となっている問題の方が深刻です。必要とする人がもれなく制度を利用できるようにするべきです。
生活保護急増の背後にあるのは、長引く不況、仕事の減少に加え、医療、雇用、介護、年金などの社会保障制度のほころびです。現在の生活保護制度は、非正規雇用の増大、ハンディキャップを持つ者の労働市場からの排除、最低賃金の低さ、雇用保険制度の不十分さ、低年金・無年金といった日本の労働政策・社会保障政策のしわ寄せをカバーする機能を一身に担っています。こうした社会経済状況の変化の中で、憲法25条の生存権保障を具体化した生活保護制度は、格差・貧困社会の是正に向けた大きな柱であり、「最後のセーフティネット」として機能を強化すべきです。同時に、雇用の再建と生活保護に至る前段階でのセーフティーネットの充実など、様々な支援と連携した新しい制度も求められていると考えます。
とくに、日本は子どもの貧困率が非常に高く、子どもの7人に1人、ひとり親世帯の子どもは1.8人に1人が貧困状態にあります。その背景には、労働環境の劣化、社会保障制度や税制が貧困の解消に役立っていないなど構造的な問題があります。「子どもの貧困」を解消するため、保育、教育、住居、健康、雇用など包括的な政策を実行し、貧困の連鎖に楔を打ちます。継続的に政府の貧困率測定調査を実施し、数値目標を定めて貧困の削減に取り組みます。
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について → 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、国民の生存権保障の水準を決する極めて重要な基準です。生活保護基準が下がれば、最低賃金の引き上げ目標額、地方税の非課税基準、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策の適用基準にも連動しており、庶民の生活にも大きな影響を与えることになります。生活保護基準の引き下げは、最低生活ラインを際限なく引き下げていく「貧困のスパイラル」に陥り、夢も希望ももてない社会を招来することになりかねません。生活保護受給者だから現在の貧困よりももっと低い最低の暮らしを迫られるのは差別です。「最低生活の基準」ではなく、「人間に値する生活を保障するための最低限度の基準」を考えるべきであり、生活保護基準の底上げはまだまだ足りません。安直かつ拙速な生活保護基準の切り下げには断固として反対します。
3.「現金給付から現物給付へ」について → 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
自民党などが食費や衣服代などの主に生活用品に関して、受給者に現金ではなく食品と交換できるクーポン券を配る他、電子マネーなどの形で生活費を支給することを検討しています。食費も現物支給が実現できれば、保護費に占める食費の割合を下げることを可能になるというものです。
現物支給となると、食費としての水準が決まってしまい、ただでさえ低額の保護費の削減に拍車を掛けることになります。選択の幅もなくなります。何に引き替えたのかまで管理されます。
スーパーなどで「私は生活保護受給者です」との烙印を押し、差別や偏見が助長されます。それがいやなら辞退しろとでもいうのでしょうか。「施してやるから我慢しろ」というのではなく、権利としての生活保護制度として、議論すべきです。
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
→ 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に賛同します。具体的な稼働能力や生活環境、就労の場の有無などを度外視した就労支援ではなく、その人に合ったサポートが必要です。有期保護は、保護が必要な人を締め出すことになり、憲法に抵触します。
5.「ジェネリック医薬品の使用義務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
→ 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
生活保護受給者は安いジェネリック医薬品で十分だというのでは、差別・偏見につながります。ジェネリックだろうがそうでなかろうが、一人一人に適した医薬品が提供されるべきです。
また、たしかに医療扶助に自己負担がないこともあって、過剰診療や薬の過剰投与が起きやすいという問題が生じています。しかし、過剰診療や過剰投与は病院側の問題です。一部自己負担制によって、必要な受診すら自粛することになりかねず、命の危険をもたらすことも懸念されます。
医療扶助のあり方の見直しは行うべきですが、必要な医療を確保するために福祉事務所に専門の職員を配置し、受給者に対して、医療に関する相談、助言などを行うのが先です。
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
→ 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
生活困窮者は親族に問題を抱えているケースが多く、現在、生活保護は扶養を要件とはしていません。
まず、扶養義務が強化されると、ますます生活保護が利用できなくなり、餓死や孤立死が増えることは火を見るより明らかです。生活保護を利用せざるを得ない人たちは家庭環境も複雑な場合も多いです。扶養の強要によってこれまで以上に家族関係がこじれ、いっそう孤立させることになります。DV被害者や虐待を受けてきた人たちが加害者の扶養を強要されることになったり、加害者の影に怯える彼ら彼女らに生活保護の申請を諦めさせたりすることにもなりかねません。
また、扶養義務の強化によるしわ寄せは中・低所得者世帯に集中し、これまでかろうじて貧困に陥らずにいた世帯までもが貧困化する可能性があります。とくに、少子高齢化のもとで扶養義務を負うのは若い世代であり、子どもの教育費などでギリギリの生活をしている世帯が親の扶養まで強いられることになり、貧困の連鎖がさらに加速することになりかねません。
そもそも日本の民法は、前近代的な規定(夫婦・直系血族・兄弟姉妹は義務を負う)を有しており、世界各国のうち、成人した親子や兄弟間で扶養義務を負わせる国の方が珍しくなっています。
制度に対する正確な理解を徹底するとともに、民法877条を中心とする扶養義務規定を、「個人の尊厳」、「だれもが自分らしく生きる権利」という観点から見直すべきです。
7.「ケースワーカーの民間委託」について → 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
様々な生活上の困難に直面している方々に対し、個別的、継続的、包括的に支援に結びつけるには、専門的知識を持ったケースワーカーの活用、配置が重要になります。その身分や雇用の安定、人材育成、研修強化こそ必要であり、安易な民間委託の拡大はケースワーク機能の低下が懸念されます。財政措置を強化し、生活保護のケースワーカーの増員と専門性の確保をはかるべきです。
※11月26日時点に存在した政党にお送りしていますので、現時点と政党名等が異なることはご了承下さい。
●公開質問状の内容の確認は、こちらをどうぞ。
→総選挙に際して、各政党に「生活保護制度改革に関する公開質問状」を発出しました。
【具体的な質問事項】
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・わが国の貧困率は年々悪化し16%に達しています。このような現状は改善すべきと思いますか。
・わが国の生活保護の「捕捉率」は2~3割で受給漏れが多く、保護率(1.6%)も保護費の対GDP比(0.6%。OECD平均の4分の1)も先進国中特異な低さとなっています。このような現状は改善すべきと思いますか。
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について
3.「現金給付から現物給付へ」について
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
5.「ジェネリック医薬品の使用義【質問事項】務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
7.「ケースワーカーの民間委託」について
【各党からの回答】
★各政党からの回答一覧(画像をクリックしてください)
・日本維新の会 ・
回答書(pdf)
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・貧困率を改善すべきと思うか → 思う
・先進国でも低い捕捉率を改善すべきと思うか → (回答なし)
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について
→ その他「自立支援へ向けた制度に全面的に改めるべき」
3.「現金給付から現物給付へ」について → 賛成
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
→ 賛成
5.「ジェネリック医薬品の使用義務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
→ 賛成
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
→ 賛成
7.「ケースワーカーの民間委託」について → 賛成
・日本共産党 ・
回答書(pdf)
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・貧困率を改善すべきと思うか → 思う
・先進国でも低い捕捉率を改善すべきと思うか → 思う
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。せっかく貧困率や捕捉率が明らかにされたのですから、年次目標をもって解決すべきです。貧困と格差の拡大の大きな原因は、①非正規雇用の拡大や違法なリストラなど雇用破壊、②貧弱な社会保障制度にあります。ここを正していく政策が必要です。消費税増税は貧困と格差を拡大します。社会保障の拡充は、消費税に頼らず、富裕層や大企業などに優遇された税制を応能負担の原則に転換すること、大企業に貯めこまれた260兆円の内部留保を、雇用や賃上げ、中小企業に還流させる経済改革を行うことで可能です。
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について → 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。生活保護基準の引き下げは、生活保護世帯はもとより、賃金や社会保障給付など、国民の暮らし全体に大打撃になります。
3.「現金給付から現物給付へ」について → 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。そもそも、生活保護は権利ですが、受給することを「恥」と思い込んだり、躊躇している人が少なからずいます。このもとで、現物支給を行えば、生活保護を活用している事が世間に知れ、辞退したり、受給を差し控える事が蔓延してしまいます。権利であることを国民が納得し合意できるように、行政は責任を持つべきです。
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
→ 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。具体的な稼働能力や生活環境、就労の場の有無などを度外視した就労支援ではなく、その人に合ったサポートが必要です。有期保護は、保護が必要な人を締め出すことになり、憲法に抵触します。
5.「ジェネリック医薬品の使用義務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
→ 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。ジェネリック医薬品の義務付けは、保護世帯の医療の選択権を奪います。医療費の一部負担が導入されれば、その分最低限の生活費を削ることになります。これらは、生活保護世帯に必要な医療を受けさせず、病状が悪化すれば、返って医療費が増大します。
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
→ 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。「証明の義務化」は、保護が必要な人に萎縮効果を与えます。さらに、扶養を保護の要件にすることにもつながります。これは、現行の生活保護法の成り立ちを無視したものであり、戦前の救貧制度に逆戻りすることになってしまいます。
7.「ケースワーカーの民間委託」について → 反対
〈日本共産党の意見〉貴会の見解に賛同します。いま必要なのは、ケースワーカーの専門性を強化するとともに大幅に増やすことです。ケースワーカーの人件費は、全額国が責任を持つべきです。
・民主党 ・
回答書(pdf)
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・貧困率を改善すべきと思うか → 思う
・先進国でも低い捕捉率を改善すべきと思うか → 思う
〈民主党の意見〉「生活支援戦略」により、生活困窮者に対する生活支援を充実する。第2のセーフティネットである求職者支援制度の活用、ハローワークや自治体の様々な相談機能の縦割りの解消、NPOなどとの連携などにより、社会復帰、早期就労など自立のための再チャレンジを支援する。
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について → その他
〈民主党の意見〉真に支援が必要な人に適切な生活保護の認定を行う。現在、社会保障審議会生活保護基準部会にて検討中。
3.「現金給付から現物給付へ」について → その他「検討中」
〈民主党の意見〉厚生労働省社会保険審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会の議論と平行して検討中。
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
→ その他「検討中」
〈民主党の意見〉上記3に同じ。
5.「ジェネリック医薬品の使用義務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
→ その他「検討中」
〈民主党の意見〉医療扶助について電子レセプト点検の強化や、後発医薬品使用の促進などの改善をすすめる。
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
→ その他「検討中」
〈民主党の意見〉上記3に同じ。
7.「ケースワーカーの民間委託」について → その他「検討中」
〈民主党の意見〉上記3に同じ。
・自由民主党 ・
回答書(pdf)
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・貧困率を改善すべきと思うか → 思う
・先進国でも低い捕捉率を改善すべきと思うか → その他
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について
→ その他
3.「現金給付から現物給付へ」について → その他
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
→ 賛成
5.「ジェネリック医薬品の使用義務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
→ 賛成
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
→ 賛成
7.「ケースワーカーの民間委託」について → 賛成
・社会民主党 ・
回答書(pdf)
1.貧困の拡大と生活保護の現状について
・貧困率を改善すべきと思うか → 思う
・先進国でも低い捕捉率を改善すべきと思うか → 思う
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
生活保護制度に関連するバッシング報道が過熱するなか、民主・自民・公明三党の確認文書に基づく「社会保障制度改革推進法」の附則に「生活保護制度の見直し」が挿入され、不正受給者への厳格な対処や生活扶助・医療扶助等の給付水準の引き下げが行われようとしています。
生活保護利用者数の増加は、財政負担や不正利用事案の増加とともに報じられ、負のイメージをもって語られることが多いですが、利用者数の増加と財政負担を理由に制度が縮小されるようなことがあってはなりません。我が国における利用者数や総人口比での利用率は、先進諸外国に比べると未だに著しく低いレベルにとどまっています。600万~850万人の人が「漏給」となっている問題の方が深刻です。必要とする人がもれなく制度を利用できるようにするべきです。
生活保護急増の背後にあるのは、長引く不況、仕事の減少に加え、医療、雇用、介護、年金などの社会保障制度のほころびです。現在の生活保護制度は、非正規雇用の増大、ハンディキャップを持つ者の労働市場からの排除、最低賃金の低さ、雇用保険制度の不十分さ、低年金・無年金といった日本の労働政策・社会保障政策のしわ寄せをカバーする機能を一身に担っています。こうした社会経済状況の変化の中で、憲法25条の生存権保障を具体化した生活保護制度は、格差・貧困社会の是正に向けた大きな柱であり、「最後のセーフティネット」として機能を強化すべきです。同時に、雇用の再建と生活保護に至る前段階でのセーフティーネットの充実など、様々な支援と連携した新しい制度も求められていると考えます。
とくに、日本は子どもの貧困率が非常に高く、子どもの7人に1人、ひとり親世帯の子どもは1.8人に1人が貧困状態にあります。その背景には、労働環境の劣化、社会保障制度や税制が貧困の解消に役立っていないなど構造的な問題があります。「子どもの貧困」を解消するため、保育、教育、住居、健康、雇用など包括的な政策を実行し、貧困の連鎖に楔を打ちます。継続的に政府の貧困率測定調査を実施し、数値目標を定めて貧困の削減に取り組みます。
2.「生活保護給付水準の引き下げ」について → 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、国民の生存権保障の水準を決する極めて重要な基準です。生活保護基準が下がれば、最低賃金の引き上げ目標額、地方税の非課税基準、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策の適用基準にも連動しており、庶民の生活にも大きな影響を与えることになります。生活保護基準の引き下げは、最低生活ラインを際限なく引き下げていく「貧困のスパイラル」に陥り、夢も希望ももてない社会を招来することになりかねません。生活保護受給者だから現在の貧困よりももっと低い最低の暮らしを迫られるのは差別です。「最低生活の基準」ではなく、「人間に値する生活を保障するための最低限度の基準」を考えるべきであり、生活保護基準の底上げはまだまだ足りません。安直かつ拙速な生活保護基準の切り下げには断固として反対します。
3.「現金給付から現物給付へ」について → 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
自民党などが食費や衣服代などの主に生活用品に関して、受給者に現金ではなく食品と交換できるクーポン券を配る他、電子マネーなどの形で生活費を支給することを検討しています。食費も現物支給が実現できれば、保護費に占める食費の割合を下げることを可能になるというものです。
現物支給となると、食費としての水準が決まってしまい、ただでさえ低額の保護費の削減に拍車を掛けることになります。選択の幅もなくなります。何に引き替えたのかまで管理されます。
スーパーなどで「私は生活保護受給者です」との烙印を押し、差別や偏見が助長されます。それがいやなら辞退しろとでもいうのでしょうか。「施してやるから我慢しろ」というのではなく、権利としての生活保護制度として、議論すべきです。
4.「働ける層(稼働層)の自立支援策実践の義務化や有期保護制」について
→ 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に賛同します。具体的な稼働能力や生活環境、就労の場の有無などを度外視した就労支援ではなく、その人に合ったサポートが必要です。有期保護は、保護が必要な人を締め出すことになり、憲法に抵触します。
5.「ジェネリック医薬品の使用義務付けや医療費一部自己負担制の導入による医療費抑制」について
→ 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
生活保護受給者は安いジェネリック医薬品で十分だというのでは、差別・偏見につながります。ジェネリックだろうがそうでなかろうが、一人一人に適した医薬品が提供されるべきです。
また、たしかに医療扶助に自己負担がないこともあって、過剰診療や薬の過剰投与が起きやすいという問題が生じています。しかし、過剰診療や過剰投与は病院側の問題です。一部自己負担制によって、必要な受診すら自粛することになりかねず、命の危険をもたらすことも懸念されます。
医療扶助のあり方の見直しは行うべきですが、必要な医療を確保するために福祉事務所に専門の職員を配置し、受給者に対して、医療に関する相談、助言などを行うのが先です。
6.「特定の扶養義務者に対し扶養できないことの証明義務を課す」について
→ 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
生活困窮者は親族に問題を抱えているケースが多く、現在、生活保護は扶養を要件とはしていません。
まず、扶養義務が強化されると、ますます生活保護が利用できなくなり、餓死や孤立死が増えることは火を見るより明らかです。生活保護を利用せざるを得ない人たちは家庭環境も複雑な場合も多いです。扶養の強要によってこれまで以上に家族関係がこじれ、いっそう孤立させることになります。DV被害者や虐待を受けてきた人たちが加害者の扶養を強要されることになったり、加害者の影に怯える彼ら彼女らに生活保護の申請を諦めさせたりすることにもなりかねません。
また、扶養義務の強化によるしわ寄せは中・低所得者世帯に集中し、これまでかろうじて貧困に陥らずにいた世帯までもが貧困化する可能性があります。とくに、少子高齢化のもとで扶養義務を負うのは若い世代であり、子どもの教育費などでギリギリの生活をしている世帯が親の扶養まで強いられることになり、貧困の連鎖がさらに加速することになりかねません。
そもそも日本の民法は、前近代的な規定(夫婦・直系血族・兄弟姉妹は義務を負う)を有しており、世界各国のうち、成人した親子や兄弟間で扶養義務を負わせる国の方が珍しくなっています。
制度に対する正確な理解を徹底するとともに、民法877条を中心とする扶養義務規定を、「個人の尊厳」、「だれもが自分らしく生きる権利」という観点から見直すべきです。
7.「ケースワーカーの民間委託」について → 反対
〈社会民主党の意見〉貴会の見解に同意します。
様々な生活上の困難に直面している方々に対し、個別的、継続的、包括的に支援に結びつけるには、専門的知識を持ったケースワーカーの活用、配置が重要になります。その身分や雇用の安定、人材育成、研修強化こそ必要であり、安易な民間委託の拡大はケースワーク機能の低下が懸念されます。財政措置を強化し、生活保護のケースワーカーの増員と専門性の確保をはかるべきです。