福島原発:下請け作業員の半数、偽装請負の疑い 東電調査
毎日新聞 2012年12月03日 21時13分
東京電力は3日、福島第1原発の下請け作業員のうち、約半数が実際の雇用主とは異なる会社の指示で働く「偽装請負」の疑いがあるとするアンケート結果を発表した。自分の労働条件を書面で明示されていない作業員も約3分の1いた。偽装請負は職業安定法で禁止されているほか、労働基準法では、労働条件を書面で明示するよう義務付けている。第1原発の廃炉作業を管理する経済産業省資源エネルギー庁は同日、東電に口頭で改善を指示した。
アンケートは、第1原発の元請け企業27社の下請け企業に勤務する作業員3974人を対象に、9月20日〜10月18日まで実施。3186人が回答した(回答率80.2%)。
作業の管理員を除く2423人に、現場で作業を指示する会社と給料を支払う会社が同じか聞いたところ、「同じ」と答えたのは1173人(48.4%)だったのに対し、「違う」は1160人(47.9%)で、半数が偽装請負の可能性があった。
また、雇用主から強要・指示された内容について複数回答で聞いたところ、「現場では別会社の指示通りに働け」と言われたのは158人。「東電や元請けへの提出書類に、別会社の名前を書け」と指示された人も125人いた。
仕事内容や場所、賃金などの労働条件について、雇用主から書面で明示されなかったのは全回答者のうち1146人(36%)。198人(6.2%)は、口頭説明もなかった。
時給は、837円以上(71.8%)▽658円以上837円未満(2.8%)▽645円以上658円未満(1%)▽645円未満(1.1%)−−だった。
東電の尾野昌之原子力・立地本部長代理は3日の記者会見で「現時点で、偽装請負などの法令違反に当たるかは判断できないが、改善すべき状況は現実に存在すると認識している。元請け企業と協力して改善する」と述べた。【中西拓司、西川拓】