ホーム章太郎データベース>作品解説:009ノ1
章太郎データベース
作品解説
009ノ1
ストーリー
物語はウエスト・ブロックの秘密諜報機関員9ノ1(ナイン・ワン)が、イースト・ブロックのスパイを相手に活躍する。ミレーヌ・ホフマンこと9ノ1は身体をサイボーグ化した近未来のスパイである。胸に仕込まれたマシンガンや強化された跳躍力、マヒ光線を仕込んだ指輪などを駆使し、00機関のキャプテンNo.0の指令を遂行していく。
初出データ
『週刊漫画アクション』(双葉社)1967年8月10日号〜1970年3月5日号、
1974年11月14日号/『帰ってきた009ノ1』(単行本タイトル:真珠爆弾)
作品データ
指令No.1 頭脳を探せ!
指令No.2 Dr.Xを連行せよ!
指令No.3 超能力者をわがポケットに
指令No.4 U.F.Oを確認せよ!
指令No.5 モンスターを殺せ!
指令No.6 ジャンプせよ!時果つるまで
指令No.7 古城よりの招待状
指令No.8 ガールハント
指令No.9 魚の出てきた日
指令No.10 ドルフィン・ワールド
指令No.11 Give and Take
指令No.12 パロディ
指令No.13 砂の城
指令No.14 青銅の男
指令No.15 ママ!
指令No.16 クレバス
指令No.17 A Happy New Year
指令No.18 鬼
指令No.19 ムゲン
指令No.20 港
指令No.21 復讐
指令No.22 トレヴィに三度くる
指令No.23 No.100
指令No.24 死霊の館
指令No.25 夜明け
指令No.26 深海魚
指令No.27 目覚め
指令No.28 R&B
指令No.29 昨日の暦
指令No.30 ポップ
指令No.31 走る五人
指令No.32 HARD BOILED
指令No.33 地平線の家
指令No.34 聖夜
指令No.35 花と竜
指令No.36 火星将軍
指令No.37 黄金の女
番外編 真珠爆弾
キャラクター設定
■009ノ1(ゼロゼロナイン・ワン)/本名:ミレーヌ・ホフマン
ウエスト・ブロックの秘密諜報機関[シークレット・エージェント]である「00機関」に所属するサイボーグ諜報員。12人のシークレット・ウーメンの9ナンバー。2065年生まれの21歳。ミューズやヤトリーヌ、クール・リズ、メリンダ・ピアス、リリー・ラムなどの別名を使うこともある。
両親は戦争による銃弾に倒れ、弟(ポール・ホフマン)は敵のイースト・ブロックのスパイになっていた。その弟を死に追いやったことが心の傷になる。
身長161cm、体重52kg、血液はAB型、身体がサイボーグ化され、以下の機能がある。
  • 目:赤外線フィルムを使ったアイカメラが仕込んである。
  • 耳:聴力は100倍にできる。
  • 脳:人工頭脳を持っていて、フィルム等の人工情報を記憶しておくことができる。
  • 胸:マシンガンや短針銃が仕込まれている。
  • 足:足の骨には跳躍力アップのための特殊なバネが仕込まれ、驚異的な跳躍力を発揮する。
  • 指:親指の爪の裏には毒物、薬指には解毒剤。
  • アクセサリー:イヤリング型指令受信機や、マヒ光線を仕込んだ指輪などを持っている。
  • ミニ光線銃[レーザーガン]:護身用に常に携帯している。
  • 女性としての肉体や魅力も巧みに使用する。
作品解説
「009ノ1」は、石ノ森章太郎にとって初めて青年向け雑誌に描いた本格的な連載作品であり、記念碑的な意味もある作品である。1967年から1968年にかけ『ビッグコミック』や『プレイコミック』などの青年向けマンガ雑誌の創刊が相次ぎ、この「009ノ1」も1967年『週刊漫画アクション』の創刊号から2年半に渡り連載された。掲載は週刊誌であったが、全体的には月1〜2度の割合での連載だった。
連載当初から大人向けを意識して描かれているが、前半は随所に少年マンガ的な描写が残っているのに対し、後半になると劇画タッチになり、よりリアルさも増してくる。そして9ノ1の哀しみや心の傷までもが繊細に描写され、[砂の城]や[地平線の家]のように、セリフはなく9ノ1のモノローグだけで見せる実験作なども登場する。
また作品は全体的にパロディ的要素を持って構成され、タイトルも「サイボーグ009」と女忍者の“くの一”をミックスさせたことから「009ノ1(ゼロゼロナイン・ワン)」となっている。内容もタイトルのままで、「サイボーグ009」の大人版であり、スパイものである。
雑誌連載時のタイトルは「009ノ1(ゼロゼロナイン・ワン)」であったが、1985年秋田書店の単行本や、1988年の中央公論社の愛蔵版でタイトルに“ゼロゼロクノイチ”と記載されたことから、作品タイトルを「ゼロゼロクノイチ」と呼ばれることもある。
原作者・石ノ森章太郎の自作を語る述懐より

(前略)
20数年前。『ビッグコミック』が創刊した。『漫画アクション』が『プレイコミック』が、と続いた。三誌とも依頼がきて――引き受けた。なにしろまだ、描き手が不足の時代だった。

『ビッグコミック』に『佐武と市捕物控』、『漫画アクション』に『009ノ1』、『プレイコミック』に『ワイルドキャット』と表紙絵[カバーイラスト]を描いた。シリアスな時代モノ、SF、ギャグストーリーと、描き分けたTつもりUだった。が、送り手の遅れは深刻だった。

先ず、イメージ通りの絵が描けない。昨日までは子ども向けの、丸っこい五等身キャラクターを描いていたのだ。次にストーリーテリング。オトナ向けとはいうものの、どこまで大人っぽくすればいいのか? 読者も昨日まで子どもマンガを読んでいたのだ、という意識。子どもマンガで造られてしまっていた無意識の自己規制、などがペンを鈍らせた。

今日まで子ども、明日から大人という、T成人式Uでの戸惑い、のようなモノだったろうか。そして、『009ノ1』。『サイボーグ009』のオトナ版、スパイ(忍者くノ一)もの。子どもマンガで描けなかった要素はセックスとバイオレンス、ならば、という単純素朴な発想でスタートした作品であった。なんとか、それらしく描けてるかな、と思えるようになったのは、連載も半ばを過ぎてからのことである。
(後略)

中公文庫『009ノ1』第一巻(1996年1月18日発行)後書きより


(前略)
一口に成年コミックとは言っても、それまでの長い間T少年U相手に描いてきた作風は、なかなか一朝一夕には変えられなかった。盟友・藤子不二雄(当時はFもAもなく、ただの藤子だったが、ここではA)氏に、やっとオトナマンガらしくなったね、と評されたのは「009ノ1」であり、それも、連載半ばに差しかかった頃のことであった。

メディアファクトリー『石ノ森萬画館』(1997年4月5日発行)より

 
章太郎データベース
章太郎年譜
映像作品

受賞歴
作品解説
 ├009ノ1
 ├スカルマン
石ノ森章太郎研究叙説009ノ1
電子コミックサイト
■DMM.com : 電子書籍
 ├009ノ1
■eBookJapan

 ├009ノ1
■Yahoo!コミック
 ├009ノ1
■楽天ダウンロード

 ├009ノ1
ページの先頭にもどる