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新聞・週刊誌「三面記事」を読み解く
【第12回】 2012年11月30日
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降旗 学 [ノンフィクションライター]

大阪で中国人留学生が暴行被害
日本人なら誇りをなくすな、と私は思うぜ

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 被害に遭った中国人女性は、たとえ中国人を標的にした犯行ではなかったとしても、これで日本と日本人に対する偏見をひとつ持ったかもしれない。日本で学ぶ中国人の信頼を削いだ事件になったことにも変わりはない。

 理想を言えば、日本にいる中国籍の友人がいて、韓国籍の友人がいて、北朝鮮籍の友人がいることが望ましいと私は思っている。反日デモに参加した人の多くは、日本人を知らず、歪んだ教育を受け、ネット情報で日本にバイアスをかけた人たちだったのだろう。

 それと同じように、中国人と接したこともないのに中国と中国人を嫌うのはおかしいと思うぞ。

 だから、尖閣諸島の購入資金に寄付をした人たちを、私はとても日本人らしい態度で臨んだ人たちと見ているのだ。募金は、全く動こうとしない政府への意思表示であり、日本の領土を守るための活動でもあり、また、暴力に訴えることのない行動のひとつだった。誇らしいではないか。

 臥薪嘗胆、同害報復なんてのは以ての外なのだ……、おや、これも中国からきた故事成語だっけ?

(文中敬称略)

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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