それが中国人の反日感情に火をつけた。国有化の宣言が満州事変のきっかけにもなった柳条湖事件が起きた十八日と近いこともあり、中国全土一〇〇の都市で反日デモが繰り広げられた。二九日の国交正常化四〇周年などどこ吹く風だ。
とにかく、ひどいデモの連続だった。暴徒と化した中国人は、日系企業の社屋、工場、デパート、スーパーの焼き討ち、投石、乱入、破壊とやりたい放題だった。出動した武装警察隊はデモを鎮めるどころか、破壊行為に加担する姿まで報じられる始末だ。
だからはっきり言っておこう。あの反日デモは、デモに名を借りた破壊と略奪行為以外の何ものでもないということを。中には、政府当局から“日当”をもらい、送迎バスでデモに駆けつけた人たちまでいた。
反日にかこつけて日頃の鬱憤を晴らした人たちも数多くいたはずで、デモに便乗し破壊と略奪に走る姿は、私に言わせれば、面白半分にネット上の炎上に加担する輩と何ら変わるところがない。どちらにも共通しているのは、便乗なのだ。
日本の大学や省庁のサイトにサイバー攻撃をしかけ、文書の改ざんや日本を侮蔑する書き込み、個人情報の流出を操作した人たちもいる。中国人は、どうやらそれを犯罪だと思っていないようだ。愛国無罪ってのは、そういうものらしい。
現地日本企業の損害は、およそ一〇〇億円にものぼると野田内閣は明かした。
政府は、日本企業が被った損害の救済は中国国内法に従って行なわれるべきだと主張し、中国に対し早期の損害賠償を求めると言うが、私は中国という国を、自分たちの不始末の尻拭いをするほど甘い国ではないと思っている。次の与党がこの問題をどう引き継ぐのか、ちょっと見ものだ。
過日の反日デモと彼らのあの蛮行を、あなたはどう見たか――?
私は、野蛮で、不秩序で、お叱りを覚悟で言えば、生活レベルの低い人たちが特権階級に唆されてしでかした愚行と受け止めていた。つまりは、衆愚の蛮行である。デモンストレーションとは、破壊活動のことではない。そんなこともわからない人たちがやったことなのだ。