ドームドッジ2012inナゴヤ
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【暮らし】世代をつなぐ 12衆院選 軽視される若年層少子高齢化が急速に進む日本。政治は、層が厚くなる高齢者への配慮を強くするが、若年層には重い負担がのしかかり、将来の希望を膨らませにくい状況が生じている。政治の比重を変え、「世代間格差」を埋めるには、どうしたらいいか−。衆院選に向け、その方策を考えていく。 「若者に一人五票の選挙権を与えよう!」 ニッセイ基礎研究所(東京都)の生活研究部門理事、中村昭さん(56)は今年三月、こんな刺激的なタイトルのリポートを発表した。「悪循環をこのまま放置できない」との思いからだ。 高齢化で、若者に比べ投票率の高い高齢有権者が増える。医療や介護、年金…。この世代に配慮した政策に重点が置かれ、予算が多く配分される。一方、限られたパイの中、若い世代への予算投入は抑えられる上、保険料や税負担が重くのしかかり、少子化は一層加速する。 グラフのように、国勢調査に基づく人口統計によると、一九五〇年には、二十歳以上の有権者人口に占める二十代〜三十代の割合は53%、六十五歳以上は9%にすぎなかった。これが六十年後の二〇一〇年には、二十代〜三十代が31%と著しく縮小、六十五歳以上は28%と、ほぼ肩を並べる水準になった。 今年一月に国立社会保障・人口問題研究所(東京都)が発表した将来推計人口(死亡・出生とも中位の仮定)では、三〇年には二十代〜三十代の有権者人口は23%にまで縮み、逆に六十五歳以上が37%にまで膨らむ。中村さんは、社会保障予算の配分は「既に高齢者偏重になっている」と指摘する。 経済協力開発機構(OECD)の基準で日本、米国、英国、ドイツ、フランス、スウェーデンの六カ国を比較した〇五年のデータでは、年金など高齢・遺族分野への支出割合は、日本以外の五カ国平均が38%に対し、日本は54%と高い。その一方で、育児支援など家族分野への支出割合は五カ国平均が10%に対し、日本は4%にすぎない。 ここ数年の政治も同じ傾向だ。民主党は〇九年の衆院選マニフェストで、一人月額二万六千円の子ども手当の創設を提唱した。しかし、年間約五・五兆円という原資をひねり出せず減額を余儀なくされた。 非正規労働の比率上昇や低賃金、子育て支援の制度不備などを改善する若者世代向けの政策もはかどらず、若者が結婚や出産をためらいがちな環境は変わっていない。 一方、「高齢者優遇」の代表例は、公的年金の支給額を物価下落に合わせて減らす規定の未実施。衆院解散直前にようやく引き下げる法律が成立したが、払い過ぎの年金額は年間約一兆円に上る。 これも特例で一割に据え置かれている七十〜七十四歳の医療費の窓口自己負担を二割に引き上げる措置は、実施時期が未定のままだ。 経済や社会保障の分析をするエコノミストの世界では「“シルバー民主主義”の暴走が始まった」といった声まで出ている。「若者に一人五票」は、実際には現実離れした話だが、中村さんは「そのぐらいの大変革をする気構えで、政治は世代間格差の問題に取り組むべきだ」と訴える。 (白井康彦) ◆投票で意思表示が大切
「シルバー民主主義」のもう一つの要因は、さまざまな選挙での若者の投票率の低さ。二十代前半の投票率が六十代〜七十代の半分未満といったことが珍しくない。 例えば昨年二月の名古屋市長選。愛知県知事選や同市議会解散の是非を問う住民投票とのトリプル投票で話題を集めたが、二十〜二十四歳の投票率は30%で、七十〜七十四歳の72%の四割強にすぎなかった。 このときの知事選では、若者の投票率を上げるために愛知県選管が、アイドルグループ「SKE48」を啓発イベントなどに起用したが、効果はいまひとつだった。 「将来に希望を持てる政治」を求めるには、若者世代がこぞって投票に行き、意思表示をすることが大切だ。 PR情報
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