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地形学の重要性:渡辺満久氏

テーマ:ブログ
10月27日
米子市の鳥取県立武道館でおこなわれた渡辺満久氏の講演の感想です。
演題は「原発立地〜活断層の真実!」

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(以下原稿です)
『変動地形学者も絶滅危惧種なんですよ。私が辞めたら後継者はいません。』
 渡辺満久氏の口からこの言葉がでたのは、講演会場へ向かう車中だった。私が自己紹介で「木地師は絶滅危惧種です」とお伝えしたので、こちらに合わせた冗談かと思ったが違っていた。地震学や地質学が理系であるのに対して、地理学(いわゆる文系)に属する地形学は将来性が乏しく学生に不人気だそうだ。まさに絶滅しようとしている専門分野だ。
 だが、講演の中で、原発の活断層を評価してきた国(今の原子力規制委員会)の実態が赤裸々に語られるにつれて、地形学者の後継者不足が深刻な事態を招こうとしている現実が浮き彫りになり暗い気持ちになった。(諸外国では『地形学』は地質学と同じ理系の学問で、国際的な学会に出席すると、日本のおかしさがよくわかるそうだ)
講演で渡辺氏はつぎのことを明らかにした。
 原発建設で活断層の有無は重要な立地要件だが、航空写真による写真判読で活断層の所在を明らかにするには地形学の知識が必要となる。ところが、今まで活断層の認定や評価をおこなってきたのは地震学者や地質学者だったという。彼らは専門外だ。しかも、電力会社は溝を掘って目で確認できるトレンチ調査をほとんど行わず、どうにでも解釈が可能なボーリング調査の結果を提出してきた。加えて、原子力業界の利益を代弁する人物(東京工業大学名誉教授の衣笠善博氏)が国の審査機関を牛耳り、安全性のお墨付きを与えてきたという。(彼は地形学者ではなく地質学者です。)数々の原発の審査で、活断層の存在を否定し、つながっている活断層をズクズタに切り(<値切り>)地震の危険性を過小評価してきた。
 現に中電と国が「絶対に活断層はない」と断言した島根原発で、トレンチ調査をしたところ、紛れもない活断層あったとのこと。このように活断層の有無を判断する上で変動地形学は欠かすことができない学問であるにもかかわらず、専門外の権限を握る学者?に<知見>をゆがめられてきた経緯があった。
 渡辺氏は、電力業界が自分たちに都合のよい活断層評価を続けて国がそれを容認してきた今までのあり方や、利権のために学者魂を売り払った御用学者が学問の独自性をゆがめ、原発の安全性を脅かしてきたことに、強い憤りを感じておられる。許しがたいことに、金と地位を引き換えに国民の生命財産を奪った存在は、今ものうのうと原子力の安全性を謳い上げている。
『原子力規制委員会の委員になられて、ミイラ取りがミイラにならないですか?』
このような不躾な質問にさぞご立腹だったと思うが、渡辺氏の規制委員会での発言をみると、私の疑念はまったく杞憂にすぎなかったことは明白だ。だが、このまま渡辺氏が一人声をあげても、国民が渡辺氏の姿勢を学び賛同の声をあげていかなければ、このような正統派の良心的な学者が絶滅するのも時間の問題だろう。現に規制委員会は時間延ばしを図り、原発の再稼働を目指してグレーを白と言いくるめるタイミングを計っているように思える。

参考)
原発建設における特殊な活断層評価――変動地形学の視点から 
渡辺満久(東洋大学社会学部)
http://www.cnic.jp/modules/news/article.php?storyid=594


原発の安全審査を歪めた御用学者の「罪」
http://plaza.rakuten.co.jp/bluestone998/diary/201208130000/

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