upperline

「日本のネット世論は、反中が圧倒的に多いでしょ。でも中国のネットは半分半分で自分の国に厳しい。(政府系メディアが大半だから)自分の国を批判したい場合はネットにいくしかない。だから中国のネットのほうが面白いかもしれません。かなり多様だから」

 例えば、反日デモをしている人のカメラをみたら「実はキヤノンでしたー」といった突っ込みが中国のネットで大流行している。

「でも日本のマスコミはそれを伝えませんね。『愛国無罪』ばかり。その背景事情とか反対意見をちゃんと報じるのがジャーナリズムの役割じゃないですか。中国イコール政府ではなく、中国人一人ずつの考え方を抜きに中国は語れません。民間レベルではこんなに交流してるのに、何で上の人たちがナショナリズムにこだわるんだろうなって・・・・・・マジで悔しいです」

 あれこれ話して、ふと気づいたら2時間の予定をとうに過ぎていた。店を出る際「若い女性を遅くまで引き留めてしまって」と謝ると、彼女は首を振ってこう言った。

「ジャーナリストになる以上、私は自分が女性であることを忘れるつもりですから」

 その心意気がいい。彼女こそ「太陽に向かってまっすぐ」咲く向日葵だと思った。

「週刊現代」2012年9月22・29日号より

うおずみ・あきら/'51年熊本県生まれ。共同通信社に入社後、社会部などを経て'96年退社。『野中広務 差別と権力』(講談社)で講談社ノンフィクション賞受賞。著書に『特捜検察の闇』(文藝春秋)など
previous page
4



underline
アクセスランキング
昨日のランキング
直近1時間のランキング
編集部お薦め記事
最新記事